駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

羽生定跡

2012年10月04日 | 人物、男

    

  碁や将棋には定石(定跡)というものがある。それは碁であれば隅や布石でのほぼ五分に分かれる打ち方を言い、将棋ではほぼ五分にわかれる序盤の駒組みを言う。

 ところが羽生の場合にはもうひとつ、取られたタイトルは直ぐ取り返すという定跡がある。定跡通り、去年奪われた王将位を直ちに奪い返してしまった。

 タイトル戦で挑戦者になるにはリーグ戦やトーナメント戦を勝ち抜かねばならず、並の棋士には不可能、一流棋士では僥倖、超一流棋士でも運よくとか何とかといわれるくらい難しいことなのだが、それをきっちり勝ち上がり、更には驚くべき高率でリターンマッチを制して奪い返すのだから、あの空前絶後の勝負師大山十五世名人より強いと言っても異論が出ないだろう。

 羽生に勝ち越していた図太い渡辺を緊張させ、独りで晩飯を食わせてしまうオーラには恐れ入る。一見華奢で学者風に見えるが、将棋盤の前では獰猛な虎を感じさせる。

 こんなに強い人は他には女子レスリングで人類を越えたと言われる吉田沙保里くらいのものだろう。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする