駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

似て非なる人

2018年11月05日 | 小考

  

 

  顔は並べれば殆ど似ていないのに、イメージというか全体から受ける感じが似ていて間違えそうになる患者さんが何人か居られる。男性の方が多く、年齢は六十から八十の間で若い人は居ない。皆さん五年以上長い人は二十年通っておられるので間違えるはずはなさそうなのだが、名前を呼んで診察室に入って来られるとあれと予想していた患者病歴のスイッチを切り替えなければならないことがある。

 どうも患者さんを覚える時、顔だけでなく、時に顔よりも体格、仕草、雰囲気で覚えている場合があるようだ。そうした基本的な外見に加え話し方や反応も似ているので混同してしまう。識別の鍵となる顔は四角いとか細面という程度は似ているのだが、並べば間違えようのなく特別に似ているわけではない。

 一体人間は何人くらいの人を識別し覚えられるだろうか。ホテルのドアマンは馴染みの客を何百人も覚えているとか聞く、飲食店特に飲み屋のマスターやママが馴染み客を覚えられなければ仕事にならないはずだ。特にママという人種は人を覚える才能に恵まれているようで、名前は覚えていなくても二年前一度寄っただけなのにいらしたことがありますねと言われ驚いたことが何度かある。

 飲み屋のママやホテルのドアマンがどうやってその人を記憶するのかよく知らないが、顔だけではないだろうと思う。私は顔というより全体の塊として記憶しているような気がしている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする