実力は試合の結果で測られる。勝負の結果は三つしかない、勝ち負けそして引き分けだ。引き分けはサッカーやチェスなどを除いて稀で、勝ち負けとは違う価値と意味合いを持つ、実力よりも相性や作戦が関与しているように思う。勝ち負けとは別に論ずる必要がありそうだ。
錦織がナダルジョコビッチフェデラーマレーに分が悪かったのは事実で、錦織はいわば男子テニスプロの実力を測るバロメーターのような存在だった。勿論、調子の波はあるけれどもトップテンの五六七八位くらいの実力で、下にはまずまず勝てても、中々トップスリーの壁を破れなかった。ジョコビッチもフェデラーも錦織を良い選手と褒めるけれども、負ける気はしない口吻だった。
誰よりも本人がジョコビッチフェデラーの壁を意識していたと思う、逆に意識しすぎて突破することができなかった気がする。遂に四年八か月ぶりにフェデラーに勝てた。この一勝は大きい。なぜか、まあ色々解説はあるだろうが、なんで勝っても勝ちは勝ち、これで吹っ切れるものがあるはずだ。
ここ一番に弱い人は数多い。しばしば不運とかあれだけ実力がありながらといった枕詞で語られる。現役で、ここ一番い強い人、それは羽生竜王だろう。さすがに勝率は落ちてきているが、大切な一番には負けない何か凄味を持っている。尤も、今回のタイトル百期は容易ではないと見ている。飄々とした人、広瀬八段、は意外にしぶといものだ。
いずれにしても錦織はこれで吹っ切れて、ここ一番に三回に一回は勝てるようになるのではないか!?。