「アウシュヴィッツの地獄に生きて」ジュディスSニューマン、千頭宣子訳、朝日文庫を三ヶ月くらい前から読み始めている。何でこの本を購入したのか記憶にないが、推奨されているのをどこかで読んだのだろうと思う。
読んでいると言っても「嫌われた監督」と違い、遅々として進まない。あんまり簡単に人が殺され酷過ぎて続けて三ページ以上は読めないのだ。どうしてこんな残酷なことができたのだろうと考え込んでしまうが、実はこれほどの規模これほど組織的ではないが、同じようなことはどの国にも起きている。そしてそれはハンナアーレントが指摘したようにいかにもという極悪非道の人物ではなくどこにも居るありきたりに見える人物達によって実行されているのだ。
アウシュビッツで起きたことは実は今もどの国でも頻度こそ違え、形を変え小規模であるが横行している。まさかと思う人は視野が狭く考えが不足していると思う。誰しも不都合な不快な意実から眼を逸らしがちになる。自分を責めるよりも他人を責める方がたやすい。藤井三冠のように考えて考えて考えるよりも、悪いのは奴らと決めつけた方が簡単なのだ。
極端なことは別問題ではなく、自分に関わりのないことではないと気付く精神が今も今こそ必要と思う。マスコミの報道に何故と問いかけ自分の頭でも考えてみるのが第一歩の気がする。