駅前糸脈

町医者をしながら世の中最前線の動きを感知、駅前から所見を発信。

マイフェアレディだった

2018年10月25日 | 世界

 

             

 先日来ていた研修医はいわゆる帰国子女で小学校の三年間、オーストリアのシドニーに父親の仕事の関係で行っていたと言う。英語は耳は残っているがペラペラまでは話せないと言う。中高と受験校でみっちり絞られて英会話の機会が少なかったようである。もう一つ、アメリカ人と話をしたら「あなたなまっているわ」と言われて驚きあんまり良い気がしなかったようである。要するにコクニーの流れをくむツダイの発音だったのだ。それが普通の英語だと思っていたので、ショックだったようだ。

 それで英会話を磨くのを怠ったのかどうかまでは聞かなかったが、聞き取りは出来ても流暢には話せないと言っていた。しかし英語の耳が残っているように、率直で決断が早く英語圏の文化が身についている感じで、特別謙遜してそう言っているようには感じられなかった。大坂なおみ(殆どアメリカ人) ほどではないが、小学校の3年間の外国暮らしは生活感覚に何らかの影響を及ぼすようだ。

 今までも長短あるが数多い帰国子女の研修医が来た。どうも医師には結構帰国子女が多い、ひょっとして帰国子女枠があるのだろうか、否単に英語が得意だから有利なのかもしれない。中には英語の方が得意でどうも漢字は苦手という研修医も居た(小二から中三まで八年間アメリカの学校に通った)。男性だったのだが、非常にてきぱきとしてちょっと日本人と違うなあと、事情を聴く前から感じた。何と言うか服装から身体の動きまで、なんだかどこか日本人離れしているのだ

 こういう人達の発言が増え日本の社会に溶け込めば、もっと風通しが良くなる気がするが、簡単ではないだろうなあ。しかし確実に僅かだが異色を受け入れる空気が出てきていると思う。

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現場と行政の乖離

2018年10月24日 | 医療

           

 本格的に寒くなってきたが秋晴れが続かない。肌寒い曇り空の下を駅まで歩いた。

 もう長く生きてきたが、今頃になって政治の世界は策略に満ち、行政の世界は机上の作戦に満ちていることを知った。

 厚労省は増加する認知症患者対策として、認知症サポート医の育成を図かり始めた。曰く、かかりつけ医への研修・助言をはじめ、地域の認知症に係る地域医療体制の中核的な役割を担う医師として、認知症サポート医の養成を進めています。

 ところが、現実にはサポート医になった医師はたまたま医師会の役職に就いていたのでサポート医になった(させられた)だけで、認知症患者の世話などとんでもない、サポート医ではなく、周知啓蒙医であって、認知症は専門ではなく認知症患者を押しつけられる?のは御免被るなどと言う。気持ちはよく分かる、有り体に言えば認知症の患者さんは手が掛かり、周囲を困らせている患者さんを送り込まれても面倒見きれないということなのだ。

 サポートは名ばかりで、認知症を周知啓蒙するだけの医師なら、実臨床の助けにはならない。認知症の存在や問題点はマスコミ、ミニコミですでにかなり周知されている。形だけの体制作りが先行している感じを受けてしまう。勿論、無意味ではなく底上げや、意識改革にはそれなりの効果はあると思うが、自主的に率先してサポート医になろうとする医師が殆どいないため、認知症を専門としない医師会役員を機械的?にサポート医にしてしまったのでにこういうことになっている。受ける医師会側にこれでは有名無実になると行政に苦言抵抗する姿勢が少ないのも問題と思う。苦言抵抗するとあいつは五月蠅い奴だと言われる。世の中は難しい。

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女医を活躍させるには

2018年10月23日 | 医療

                  

 東京医大の入試で女性や多年浪人を入りにくくしていた不実が明るみなった。色々言われているが、非公表小さな脳味噌で決めていたことが、一番の問題だと思う。

 女医さんの存在の仕方には殆ど半世紀現場にいた医者として報告でき、やはり偏りがあると思っている。それは女医さん自身を含めて90%以上の医師が認めるところだろう。救急で呼ばれる科当直の多い科体力的に重労働の科を避ける傾向がある、そして、結婚妊娠出産子育てである期間現場を抜けてしまい、それがしばしば、指導者としての熟成を難しくしている。

 こうした特性をどこまで医師全体で吸収し生かすことができてきたかというと、十分ではなかったので、陰で操作が行われていたのだろう。どうすればいいかは医師だけでなく国民全体で考える必要がある。

 女性の医師にも数多い優れた研究者臨床医指導医が居る一方で、離婚率未婚率も高いという現実もあり、どうすればよいかは難題だ。相変わらずの叩くばかりの意見は役に立たない。

 当医院には研修医が地域医療の研修にやってくる。もう五十名以上の研修医を世話したので、最初の頃の十数名を除き、誰が来たか忘れてしまった。今年は女医さんの当たり年で、女医さんばかりがやってきた。最後に来た女医さんは陸上をやっていたというがっしりした人でフットワークが軽く理詰めで決断が早く、所謂女医さんとは一味違っていた。救急専門医になって是非ドクターヘリに乗りたいと目を輝かしていた。男性でもそうした医師はそう多くはない。ドクターヘリ、怖い危ない遠慮させて下さいという男も少なくない。どうも女性医師の障害は傾向の問題で、障害を特性として生かし乗り越えて行ける女医さんもいる。

 女医をどう生かすか、一つの方法は欧米に学ぶことだろうが、社会の特性と言われると逆に解決が難しくなってしまう。やはり社会の助け理解を得て医師会で率先して名案を生み出さねばならないだろう。

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東京に空はなくても

2018年10月22日 | 

な           

 久しぶりに東京へ行ってきた。昔よく利用したホテルに泊まった。十年ぶりくらいになるがさほど変わってはいなかった。家内はここは交通の便が悪いので嫌がるが 、私は一寸繁華街から離れ静かで旧式なところが好きだ。コンシェルジュの女性は落ちついた感じの良い人だったのだが、さすがに変わったようだった。

 何処もそうなのかも知れないが、外人が多くてびっくりした。アンダーの照明とブラウンを基調とした色合いが 欧風なので欧米人が多くても全く違和感がない。昔ある作家がここを定宿にしていた理由がなんとなくわかる。

 今回は都心を離れ東横沿線の中目黒と学芸大学に用があったのだが、私鉄沿線の駅といってもにぎやかな駅前商店街が形成され人通りも多くいつもながら東京のエネルギーを感じた。東京に居ては地方のシャッター商店街は分からないと思った。勿論、通り過ぎただけだから正確なことは分からないのだが、食いしん坊の私はこれだけ多種多様の飲食店がやってゆけるということは、勿論競争は激しいだろうが、活力がある証拠と見た。食べログを参考にイタリアンをたらふく食べた。美味しかったのだが、お値段もそれなりで地方都市でこの値段では客は来ないだろうと思う。食べログの評価が値段を支えているのかもしれない。   

 こうした小旅行と旨いもので幾らか心が潤った。乾いた心からは、優しさや親切というものは生まれない、マニュアルでない気遣いや笑顔を生み出す効果があったかもしれない。

 東京には空はなくても豊かさと贅があった。

           

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耐えがたきを、耐えられなくなった

2018年10月20日 | 町医者診言

          

 今朝出がけにギーとかキ-とか聞きなれない妙な鳥の鳴き声を聞いた。鳴き声のした方に目を凝らしたが姿は見えなかった。

 耐えがたきは耐えることになっていたようだが、寄る年波か耐久力が減少し耐えられなくなった。一体、十年前二十年前とどう違ってきたかというと、表現は悪く誤解されかねないが弱者暴力のようなものを感じるようになった。やや悲観的に過ぎるかもしれないが、駅前の診察室からは世の中崩壊の兆候を感じる。

 医療崩壊、家庭崩壊、技術崩壊という病魔が進行している。十月になり少し患者さんが増え忙しくなっているのだが、風邪や高血圧などのまともな患者さんの間に一人でやってきた認知症の患者さんが入ると診察に手間取って大混雑になってしまう。何せ足は丈夫で慣れた道なので医院に来ることはできるのだが、昨日のことも覚えておらず、一体何が言いたくて医院に来たのかも定かではない。独り暮らしだったり、家族が居ても怒鳴るご主人と親のことなど我知らずの独り者の息子というパターンが多い。一昨日鼻水が出て痰が絡むというのを聞き出して感冒薬を出したのに、どうもご主人に風邪じゃないだろと怒られて来たらしい。邪険にもできず、もう一度根掘り葉掘り聞くと食事が美味しくないらしい。もう料理はせず出来合いのものを買ってくるばかりでそのせいもあるかと思ったが、一か月で3kgばかり痩せてきているので胃腸科に紹介した・・昼休みに行きたくないと電話でまたまた埒が明かず、ついには温厚な受付嬢が切れて、先生電話に出てくださいということになり、連れて行くのが面倒というご主人と口論になり昼飯が不味くなった。

 自立できない人のために、自立できている人が割を食らうと書くのには抵抗があるが、そう感じることが出てきた。認知症と高額医療で、このままでは国民皆保険の医療は崩壊するだろう。核家族が増え、家族の絆が細り、家庭崩壊が進んでいる。技術立国日本などと慢心するうちに優れた技術者は減りデータを誤魔化すようになってしまった。もっと謙虚に正直に自分を見直さないと、結局勝ち組負け組の二極化が進み、ぎすぎすした世の中になると危惧する。

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