中之島教室の
「週末に楽しむ絵画」教室の石橋新司先生から、
第71回関西水彩画展のレポートが届きました
いずれ劣らぬ力作揃い
さっそくご紹介します。
病気などで不出品やむなきの方がおられて残念でしたが、
「週末に楽しむ絵画」教室では次の方たちが出品され、
きっちりと存在感を示していただきました。
大きな作品になりますと、見たものをそのまま描くだけではなく、絵をつくることが必要になってきます。
何を描き、絵で何を伝えたいのか・・・こうしたコンセプトから始め、具体的な表現の計画を立て、
地道で厳しい努力を積み重ねて初めて結果がついてきます。皆さんの作品は以下の通りです。
会員 天野紀美恵さん 刻Ⅲ(P100号)
道頓堀へ写生に出かけ、お料理屋さんの裏側の壁に釘付けになりました。相当な年齢を感じさせる空調のダストが、
今なお現役で頑張っています。その恰好はダンスをしているような面白い形です。川面を渡る風もあって自然に和んできます。
よし!これだとダクトの頑張りを思い切って抽象化し、コラージュで造形してみました。
ちなみに、同じテーマで3月末に東京から大阪へ巡回する新槐樹社展では会友賞を受賞しました
会員 飯田哲子さん 刻は流れて(S100号変)会員努力賞
教室から神戸ドックへ写生に行ったのは、もう10年前のこと。それ以来、このテーマとの格闘が続いています。
10号のパネルを9枚つなぎ、百余年の幕を閉じたドックの赤錆がいっぱいの壁を描き、その上には乾燥させた百合の花を
線描きで留めたものです。水に浸けると、かつての美しい姿に戻ります。壇ノ浦に消えた平家物語の一説が口ずさまれてくるようです。
会員 市川順子さん 蔵王堂(F100号)
昨年の70回記念展に続いての吉野「蔵王堂」です。60回記念展に、初めてチャレンジしたのですが納得のいく作品とはならず、
昨年と今年の再挑戦です。この方の真骨頂は鉛筆画です。小磯大賞展や上野の森美術館大賞展、全関西展などに入選されるほど。
今年もこの関水展開始に合わせたように上野の森から嬉しい知らせが。絵にも安らぎが見えます。
会員 井上京子さん 想(P100号)
朧に見える人体は月桂樹に変身していくギリシャ神話のダフネーです。愛の神エロースに「求愛を拒む鉛の矢」を射られた彼女は、
求愛するアポロンに応えることができず、「せめて私の聖樹に」と願うアポロンの気持ちに添います。
ダフネーの苦しみと昇華されていく想いを伝えるこの絵を見るとき、エロースの悪戯が無かったならと思わずにはおれません。
一般 津村康予さん 生きる(M100号)
前を向いて生きる女性の等身大像です。昨年の初出品初受賞に続いての出品ですが、今年も2枚組で予定していたところ、
右側に予定した絵が最後の最後でやり過ぎて失敗。辛かったと思いますが、片方だけでチャレンジしました。
逞しさが伝わってくるこの爽やかな絵には口惜しさは微塵もありません。
会員 成川明子さん 路(F100号)
長い闘病生活が続いています。それにもめげず上野の森美術館大賞展や全関西展に入選を果たされてきました。
今年も前述の市川さんと同じく上野の森から嬉しい知らせがありました。取材もままならず教室の方の協力による写真で
構想を練ったもの。未完と言っておられますが、何のなんの。見る方はそれを自分なりに補って見るから、より深く味わえ対話できます。
会友 三浦 繁さん ジオラマ(F100号)
道頓堀川は街の華やぎと喧騒を映しています。この流れを作り物の意である「ジオラマ」と題し制作された思いを
ご本人に聞きました。
「昼は顔をそむけるような汚い川面が、夕闇・夜の訪れとともに一変して美しいネオンに彩られた
川面に豹変する。・・・一過性の日常であるにもかかわらず時間の経過とともに現実としての錯覚、
重みを日常的に映しこんでいく・・・。」
先人の記した「ただ春の夜の夢の如し」の現代版とでも言うのでしょうか。
千変万化の表情を浮かべ、今日も流れています。
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同展は大阪市立美術館で、2015年3月17日(火)~22日(日)まで開催されました。
数々の展覧会で入選・受賞者多数
石橋先生の的確なアドバイスのもと、クラスの仲間と切磋琢磨して独創的な作品を創りあげます。
「週末に楽しむ絵画」教室は毎週金曜18時から開催!
見学もできますので、お気軽にお問い合わせくださいね
(中之島教室 06-6222-5222)