レコード再生において、時折発生する“パチパチ”や“ジャジジャリ”というディスク溝の埃やゴミ、それに静電気によるノイズ音、
中古品から時には新品のレコードまで、長い間このノイズに悩まされ、このようなアルバムは好演奏であってもターンテーブルに乗せる回数が途端に激減しましたが、何とか良い音で再生してみたいという願望は常にありました。
レコードのクリーニングとして、これまで使っていたのは「レイカのバランスウォッシャー33」のA液とB液の組み合わせと、静電気対策にはそれなりに効果があった「オーディオ・テクニカのレコードクリーニング液(AT634)」でしたが、もっとしっかりとノイズを消せるものはないだろうかと思っていました。
最近になって、知人からは「次はクリーナーだね」と言われたこともあり、関連雑誌やYou tubeでの映像等、色々調べてみました。
クリーニング・マシンは良さそうなのですが高価で中々手が出なかったのですが、そうこうしているうちに「VPI HW - 16.5」がヤフオクに出品されていたため、思い切って入札し手に入れました。
提供者は綺麗に使っていたようで、コンディションは良好で、しかも市中価格の半値以下でした。
そこで、早速関連器具も一緒に揃えました。
道具が揃ったところで、手始めに懸案であった4種類5枚のレコードをクリーニングしてみました。
そのレコードは、レッド・ガーランドの「THE NEARNESS OF YOU」、菅野邦彦の「SOLO」、
サミー・デヴィスJr. の「SINGS」のモノ盤とステレオ盤、
下記はその「SINGS」のステレオ盤のクリーニング状況です。
まずは、装置にレコードをセットし、中心部を付属のナットでしっかり固定します。
そして、OYAG SOUNDのレコード・クリーナーをレコード面に垂らし、ターンテーブルを回転させながら液を刷毛で盤面全体に伸ばした後、両手に持った刷毛とブラシでゴシゴシと凡そ1分、
その後、バキューム・ノズルをレコード面上に移動させ、蓋を閉じてスイッチを入れ、ターンテーブルを3回転ほどさせて盤面上の液を吸着します。(必要以上に吸着させると、静電気が発生するそうです)
そして、装置からレコードを取り出し、外周部に残った液を乾いたクロスで拭き取り、レコードを裏返して再びこの動作を繰り返します。
この状態で、ほぼ乾いているようなのですが、念のためトレイに立てかけて30分ほど乾燥させた後、両面を再び乾式のレコード・クリーナーで拭いて完了です。
最後は、エリック・ドルフィーの「IN EUROPE VOL1」で、右側の写真は、クリーニング後にレコードを乾かした状態です。
なお、いずれのレコードも最初は耳障りなノイズが発生していましたが、クリーニング後は盤面が黒光りして美しくなり、ノイズのほとんどが消えて満足な結果が得られました。
中にはまだパチパチ音がするものもありましたが、クリーニング前より大分小さくなり、ストレスなく聴くことができました。
その中で、菅野邦彦のピアノ・ソロや、サミーデヴィスJr. のヴォーカルは澄んだ音に変わっていたし、ジャリジャリ音がひどく、一番気になっていたレッド・ガーランドのレコードは、2回に渡って同じ動作を繰り返したことから、大幅にノイズが減少し、視聴上で全く気にならなくなりました。
ノイズが低減されることを想像しながら、レコードを磨くという作業は意外と楽しいです。
それと当然のこととして、元来ある傷の部分のノイズは改善されず、綺麗になった盤面上で一層目立つようになりました。