第16回はジム・ホールの「ライブ」です。
ジム・ホール(Jim Hall、本名James Stanley Hall) 1930年12月4日 - NY州バッファロー生まれ
まず最初に、ジム・ホールのキャリアについて…
1950年代半ば以降に演奏活動を開始し、クリーブランド音楽院で学ぶと共に、学費稼ぎのためにキャデラックの陸送のアルバイトをしていましたが、たまたまロサンジェルス行きの仕事があり、ついでにジャズも聴いてみようという考えでこの仕事を引き受けたのですが、結局そのままロスに住みついてしまいました。
そこでは中古楽器店で働きながら、デモンストレーションで演奏も聴かせていたところ、当時高い人気を誇っていたチコ・ハミルトン・クインテットにスカウトされ、初レコーディングを体験しています。
デビュー当時はチャーリー・クリスチヤンの直系ギタリストとして話題を呼び、ジミー・ジェフリーのドラムレス・トリオに移って更に人気を高め、そのままニューヨークに戻るのですが、そこにはハードバップを得意とする若手のケニー・バレルがすでに活躍していたことと、ジム・ホールのようなサウンドは当時のイースト・コースト派には馴染まなかったのです。
ジムはニューヨーク生まれでありながら、ウエスト・コースト派のジャズマンというレッテルを張られ、ニューヨークではレコーディングに恵まれない不遇の時代が続くことになります。
一方この時期のサイドマンとしての録音は、ソニー・ロリンス(橋)、ビル・エバンス(アンダーカレント)、アート・ファーマー(スエーデンに愛をこめて)、ポール・デスモンド(ファースト・プレイズ・アゲイン)などがあるものの、単独リーダー作となると、1969年6月の「ジム・ホール・イン・ベルリン」まで、なんと12年もの間があいています。
まずはそのサイドマンの4枚と、イン・ベルリンのジャケットを紹介します。(いずれも国内盤CDです)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/4b/08/39ab52daa3edb5397b7562e78c563dfb_s.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/61/e2/efcec714b39361baa0231e84f0b50fb4_s.jpg)
今回の推薦盤は上記のイン・ベルリンから更に6年後にカナダで録音されたライブ盤です。
「JIM HALL LIVE」 HORIZON SP-705 (A&M の傍系レーベルです)
1. ANGEL EYES
2. ’ROUND MIDNIGHT
3. SCRAPPLE FROM THE APPLE
4. THE WAY YOU LOOK TONIGHT
5. I HEAR A RHAPSODY
JIM HALL(g) DON THOMPSON(b) RRY CLARK(ds)
録音1975年6月 トロントのクラブ「バーボン・ストリート」でのライブ
演奏している5曲はジャズ・マンのオリジナルとスタンダードで、お馴染みのものばかりです。
このLPに収録されている順に演奏されたかどうかは定かではありませんが、最初の2曲はその曲目通り静かな出足で、LPでいう裏面の3曲目からは、がぜん盛り上がってきています。
ギターとベースのインター・プレイや、全曲ブラシで通すドラムソロなどと共に、ジムの素晴らしいテクニックが堪能できます。
4曲目の邦題「今宵の君は」は元来4拍子の曲ですが、 3拍子のワルツで演奏されていて、LPにはアドリブ部の採譜も載っていますが、余りにも早い演奏なので、楽譜を追っかけるのも大変です。
そしてジムのテクニックにも脱帽です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/67/f5/603312bb852df8db474a223650f1f938_s.jpg)
最後のアイ・ヒア・ア・ラプソディは、ビル・エバンスとのセッションの中にもありますが、こちらの方がテンポも良くいい出来だと思います。
同じトリオのイン・ベルリンと比較すると、6年前のイン・ベルリンの方が若い音で力強く、張り切っているように思えます。(久しぶりのリーダーアルバムであるからでしょうか)
そしてこの2枚のギターの音色の違いにも注目です。
そういえば昨年5月に来日し、30日にNHKBSのエル・ムンドに生出演していました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/7a/87/2d2aff659a1ab19d4613b40b73a49d2b_s.jpg)
そこではブライアン・カメリオ(g)との2ギターで、マイ・ファニー・ヴァレンタインを演奏しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/0e/c2/b063f16b814933792639a1e9277473b2_s.jpg)
この時、御年81歳で腰は曲がっていて、歩くときには杖をついていましたが、演奏となると全く衰えを感じさせない見事なものでした。
その番組の中でのQ&Aは…
Q:あなたにとってジャズとは…
A:(冗談っぽく)生活が掛っている。
小さいころから音楽に係ってきてベースも演ったことがある。
チャーリー・クリスチャンに影響を受けた。
Q:あなたの演奏の特徴は…
A:誰と共演するかによって都度変わる。
Q:インタープレイとは…
A:ビル・エバンス、ロン・カーター、アンドレ・プレビンなどとの共演があり、人間とのコネクションだけでなく、動物との関係も含め、そういうことだと思う。
Q:なぜ音楽を演っているのか…
A:人との出会い、繋がりの瞬間を味わいたいのさ。
と、こんなふうでした。
ジム・ホールさん、何時までもお元気で、我々に良い演奏をお聞かせください。
ジム・ホール(Jim Hall、本名James Stanley Hall) 1930年12月4日 - NY州バッファロー生まれ
まず最初に、ジム・ホールのキャリアについて…
1950年代半ば以降に演奏活動を開始し、クリーブランド音楽院で学ぶと共に、学費稼ぎのためにキャデラックの陸送のアルバイトをしていましたが、たまたまロサンジェルス行きの仕事があり、ついでにジャズも聴いてみようという考えでこの仕事を引き受けたのですが、結局そのままロスに住みついてしまいました。
そこでは中古楽器店で働きながら、デモンストレーションで演奏も聴かせていたところ、当時高い人気を誇っていたチコ・ハミルトン・クインテットにスカウトされ、初レコーディングを体験しています。
デビュー当時はチャーリー・クリスチヤンの直系ギタリストとして話題を呼び、ジミー・ジェフリーのドラムレス・トリオに移って更に人気を高め、そのままニューヨークに戻るのですが、そこにはハードバップを得意とする若手のケニー・バレルがすでに活躍していたことと、ジム・ホールのようなサウンドは当時のイースト・コースト派には馴染まなかったのです。
ジムはニューヨーク生まれでありながら、ウエスト・コースト派のジャズマンというレッテルを張られ、ニューヨークではレコーディングに恵まれない不遇の時代が続くことになります。
一方この時期のサイドマンとしての録音は、ソニー・ロリンス(橋)、ビル・エバンス(アンダーカレント)、アート・ファーマー(スエーデンに愛をこめて)、ポール・デスモンド(ファースト・プレイズ・アゲイン)などがあるものの、単独リーダー作となると、1969年6月の「ジム・ホール・イン・ベルリン」まで、なんと12年もの間があいています。
まずはそのサイドマンの4枚と、イン・ベルリンのジャケットを紹介します。(いずれも国内盤CDです)
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今回の推薦盤は上記のイン・ベルリンから更に6年後にカナダで録音されたライブ盤です。
「JIM HALL LIVE」 HORIZON SP-705 (A&M の傍系レーベルです)
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1. ANGEL EYES
2. ’ROUND MIDNIGHT
3. SCRAPPLE FROM THE APPLE
4. THE WAY YOU LOOK TONIGHT
5. I HEAR A RHAPSODY
JIM HALL(g) DON THOMPSON(b) RRY CLARK(ds)
録音1975年6月 トロントのクラブ「バーボン・ストリート」でのライブ
演奏している5曲はジャズ・マンのオリジナルとスタンダードで、お馴染みのものばかりです。
このLPに収録されている順に演奏されたかどうかは定かではありませんが、最初の2曲はその曲目通り静かな出足で、LPでいう裏面の3曲目からは、がぜん盛り上がってきています。
ギターとベースのインター・プレイや、全曲ブラシで通すドラムソロなどと共に、ジムの素晴らしいテクニックが堪能できます。
4曲目の邦題「今宵の君は」は元来4拍子の曲ですが、 3拍子のワルツで演奏されていて、LPにはアドリブ部の採譜も載っていますが、余りにも早い演奏なので、楽譜を追っかけるのも大変です。
そしてジムのテクニックにも脱帽です。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/67/f5/603312bb852df8db474a223650f1f938_s.jpg)
最後のアイ・ヒア・ア・ラプソディは、ビル・エバンスとのセッションの中にもありますが、こちらの方がテンポも良くいい出来だと思います。
同じトリオのイン・ベルリンと比較すると、6年前のイン・ベルリンの方が若い音で力強く、張り切っているように思えます。(久しぶりのリーダーアルバムであるからでしょうか)
そしてこの2枚のギターの音色の違いにも注目です。
そういえば昨年5月に来日し、30日にNHKBSのエル・ムンドに生出演していました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/25/9e/a645dc0a4a3c077565edc8747b71c339_s.jpg)
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そこではブライアン・カメリオ(g)との2ギターで、マイ・ファニー・ヴァレンタインを演奏しました。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/thumbnail/22/61/33c1e90a526f67e7ae7159329e35a791_s.jpg)
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この時、御年81歳で腰は曲がっていて、歩くときには杖をついていましたが、演奏となると全く衰えを感じさせない見事なものでした。
その番組の中でのQ&Aは…
Q:あなたにとってジャズとは…
A:(冗談っぽく)生活が掛っている。
小さいころから音楽に係ってきてベースも演ったことがある。
チャーリー・クリスチャンに影響を受けた。
Q:あなたの演奏の特徴は…
A:誰と共演するかによって都度変わる。
Q:インタープレイとは…
A:ビル・エバンス、ロン・カーター、アンドレ・プレビンなどとの共演があり、人間とのコネクションだけでなく、動物との関係も含め、そういうことだと思う。
Q:なぜ音楽を演っているのか…
A:人との出会い、繋がりの瞬間を味わいたいのさ。
と、こんなふうでした。
ジム・ホールさん、何時までもお元気で、我々に良い演奏をお聞かせください。