李承翰さんの記念碑に献花する警察官たち=2019年12月30日、嘉義市


(嘉義、台北中央社)昨年7月、南部・嘉義市の台湾鉄路管理局(台鉄)嘉義駅に停車中の自強号(特急)車内で、鉄道警察官の李承翰さん(当時24)を刺殺したとして、殺人の罪に問われていた男性の判決公判で、台湾嘉義地方法院(地裁)は4月30日、無罪を言い渡した。被告は犯行時、統合失調症を患っており、善悪を判断する能力を欠いていたと認定した。台湾嘉義地方検察署(地検)は同日、被告は判断能力を喪失していなかったとして控訴した。
李さんは昨年7月3日夜、車内で男性が暴れているとの通報を受けて駆けつけた際、刃物を所持していた男性から上腹部を刺された。嘉義市内の病院に搬送され、治療を受けたが、4日朝に死亡した。
地裁は判決で被告に対し、相当の施設での保護観察5年を命じ、50万台湾元(約179万円)での保釈を言い渡した。被告は保釈金が調達できていないため、拘置所に引き続き勾留されている。
▽警政署「受け入れられない」 総統府「控訴を支持」
この一審判決に内政部警政署(警察庁に相当)は30日、声明を出し、「不公平、全く受け入れられない」と表明した。「警察は国家の公権力を行使する。警察官を殺害した被告は厳重に非難され、重罰に処されるべき」だとし、「そうでなければ、勤務の安全が脅かされ、警察の士気が深刻な打撃を受ける」と指摘。陳家欽署長は、徹底的に上訴する姿勢を示した。
蔡清祥法務部長(法務相)は同日、報道陣の取材に対し、「警察官殺害という行為は許されないものであり、国民も許すことができない」とし、「犯罪者が精神障害を口実に刑事責任を回避できるようにはさせない」と述べた。また、被告の保釈が認められたことに対しては容認しない考えを示し、社会のセーフティーネットを即時立ち上げると強調した。
総統府の丁允恭報道官は5月1日、蔡英文総統は検察の控訴を支持していると明らかにした。