外苑茶房

神宮外苑エリアの空気を共有し、早稲田スポーツを勝手に応援するブログです。

ノーサイド精神

2016-02-02 08:50:24 | 大学ラグビー
ノーサイドの精神に関する記事がありました。
【スポーツ異聞】「ノーサイド」の精神はラグビーだけじゃない! 日本人の美しきメンタリティー - 産経ニュース


記事では、産経新聞らしく日本人のメンタリティに結びつけていますけれど、ちょっと違うかなと。

私なりにノーサイド精神を考えるとき、スポーツ近代化の歴史が思いうかびます。

中世に都市や農村で行われていたスポーツは、現在行われているスポーツに比べてルールがあまり整備されておらず、暴力的で混沌としていました。
ストリートフットボールのような祝祭日に行われていたスポーツは、しばしば暴徒化し、政府当局から禁令が出されました。

17世紀、ウィンチェスターやイートンなどの多くのイギリスのパブリックスクールでは、スポーツ、特にフットボールを教育に取り入れました。
産業革命により人々が農村から都市部に移動するのに伴い、農村のスポーツが都市部にもたらされ、中流階級や上流階級に影響を及ぼしました。
産業革命により交通が整備され人々の移動が活発になると、イギリス国内やほかの場所でパブリックスクールや大学のチーム同士が対戦する機会が増え、ルールの違いにより衝突が多くなると、さまざまなパブリックスクールでのルールを統一するため、初のサッカーにおける統轄団体であるフットボール・アソシエーションが設立されました。
このFAが創設された1863年以降、イングランドではサッカークラブが多く創設され、このほか多くのスポーツで19世紀末までに全国的な統轄組織が設立されていきました。
くわえて、上級階級からの影響でアマチュアリズムやフェアプレーの精神が強調されるようになった。

ラグビーでは、ケンブリッジ大学対オックスフォード大学戦に代表される南部を母体とするアマチュア主義をうたった組織のラグビーユニオン、北部を母体とする報酬を目的とするラグビーリーグが形成されました。

慶應義塾に伝えられたのは、もちろんラグビーユニオンのラグビーです。
特に日本では、学生スポーツがリードする形でスポーツが全国に普及しましたから、英国の名門大学で醸成されたアマチュアリズムとフェアプレイ精神、そしてノーサイドの精神が、日本のスポーツ発展に決定的な影響を与えました。

ノーサイド精神は、名門大学同士の定期戦、ある意味 スノービッシュで排他的な集団だからこそ生まれてきたものといえます。
スポーツの大衆化が進み、オープン化されたワールドカップ型のスポーツ、そしてスポーツのプロ化が広まってくると、ノーサイド精神が維持できなくなっても仕方がないのかも知れません。

しかし、定期戦を基本とする日本の大学スポーツには、今もノーサイド精神が脈々と息づいています。
その部分は、これからも守り抜いて欲しいと思います。




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