バカ犬

ちょっとバカ犬になって、本音を言ってみたいと思いませんか?

最近の日本ブームの底には

2007-02-22 | Weblog
最近いろんな分野で日本ブームが盛り上がっているようだ。

そのもとは、言うまでもなく安倍さんの「日本の伝統と文化を愛し…」の影響だ。

それにしても、メディアでは従来マイナーだった日本史、日本文学、日本美術、古代神話、庶民の習慣、伝統工芸、日本的風景や地方の紹介などが、かなり大きな地位を占めるようになってきた。

そして、今まであまり陽の当たらなかった、その道の専門家たちが活躍しはじめている。
日本を知ることは大切だ。あまりにも知らなさ過ぎた、教えなさ過ぎた。そして、忘れていたことの再発見も多々ある。

でも一方、ちょっと落ち着いて考えてみると怖いものを感じたりもする。
それは日本的であり、誰もがその中いると思う現象だ。

その現象いうのは、誰かが一言いうと、その方向へ日本中どっと流れができて、多くのみんなが流れていく。気がついてみると、何だかある種の全体主義的な世界に自分がいると感じることがあることだ。

こんな風潮を見ながら、教育再生会議の提案を見ていると、これから法改正に向かう「ゆとり教育の見直し」、「いじめた子供の登校禁止」、「教員免許の更新制度」なども、全くの対症療法で、みんなが言うから「そうだ、そうだ」で決まっているように見える。拙速に過ぎるきらいがある。議論の経緯が見えないので、結果だけが見えるからそう感じるのかもしれないけれど。

たとえば、「登校禁止」になった子供を、どのようにして再度学校に迎え入れるのか、その子供の将来にどう影響するのかというような疑問がいっぱい出てくる。登校拒否に苦しんでいる子供たちを、さらに法律で作るようなものだと思えて仕方がない。そこに底の浅い議論が露呈してみえる。

戦後60年の功罪あわせたしっかりした評価もないまま、「戦後60年のレジームを打ち壊す」との抽象的な言葉にみんなを乗せて、ある方向に持って行き、結果として戦前のような「多様性の否定」の世界に入り込んでしまわないよう願っている。

そういう意味では、「空気の研究」の山本七平氏の言う、ある種の「空気」がもう生まれはじめているのかもしれない。