バカ犬

ちょっとバカ犬になって、本音を言ってみたいと思いませんか?

福島原発事故と今後のエネルギー

2011-09-23 | Weblog
福島の原発の報道が、またまた矮小化されつつあるようだ。

極め付きは、細野原発相の19日のIAEAでの演説。
「冷温停止状態を予定を早めて年内をめどに達成すべく、全力を挙げて取り組む」
とある。(日経)

壊れて穴の開いた炉心部分、使用済み燃料プールのみに着目して、あたかも福島原電
の事故が予定通り収斂しつつあるかのような発言だ。

では訊いてみたい。
メルト・スルーした、核燃料のマグマはどこのあるのか?
どこに、まだ数千度もあると思われる溶けた核燃料があるのかは誰も知らない。
今迄の東電の方策では、それらを含めて冷温状態に持ち込むということはできないの
は明確。
これで、冷温停止状態=安定とは、本質を見ない矮小化された見解だ。

IAEAでのQ&Aが行われていれば、外国のメディアは、そこを鋭く突くだろう。
でも残念ながら、そこに言及はしていない。

溶けた核燃料は、どこにあるのか?
そこからは高い放射能が放出されつづけている。
この問題を解決しなければ、単なる気休めにしかならない。

圧力容器の中には存在しないマグマは格納容器の中にあるのか、それとも格納容器を
突き破って、地中に向かって深みに落ちて行っているのか?
もしそうであれば、地下で水に出会うと爆発して、核燃料が今まで以上の規模で、拡
散するに違いない。

この辺の突込みが、原子力安全委員会とか、学者の間から出てくるべきなのだが、数
少ない京都大学の連中以外は何も言わないでいる。
原子力ムラは間違いなく残っていて、現状に対して素知らぬ顔をしているようだ。

もう一度、東電、原子力安全委員会、原子力保安院の人たちに聞く!
どこにメルトダウンした核燃料のマグマは存在するのか?


外国のメディアの報道によると、IAEAの安全保障サイドへの方向転換が見える。
「国際原子力機関(IAEA)は原子力発電所のストレステスト(耐性調査)の国際
実施基準の中に、炉心損傷など過酷な事故が起きる確率を試算させ、明示させること
を盛り込む方向で検討に入った。「安全神話」を排除し、発生確率を低減させる努力
を加盟国に促す。日本が始めた独自のストレステストはここまでの対応を求めておら
ず、再実施を迫られる可能性が出てきた。」

これは、今後の原発再稼働に対する一つの物差しになると期待できる。
なんの理論的根拠もないのに、原発再稼働のリスクを無視する政府に対しての警鐘で
もある。
また、科学的根拠もなく、野田総理が原発の再稼働を口にするのは、早すぎるとも思
う。


ちなみに、原発の危険性と代替エネルギーについて、レスター・ブラウン氏(環境学
者:アメリカ人)が日本について述べている。

「世界で最も原発を作ってはいけない土地は、地震国で、人口密度の高い国」と定義
して、「その最悪な国が日本」と言っている。ちなみに、日本の代替エネルギーの可
能性では、「地熱発電が一番有効だろう」と言っている。

メディアも、国民も、もっと複眼的にものを見てはどうだろう。


<この写真は、flickrからHigedarumaさんの”Fukushima 1 Nuclear Power Plant _34”をお借りしました>


Creative Commonsの“表示

『死の町』発言

2011-09-10 | Weblog
またしても、メディアの能力のなさで全くつまらないことが起きている。

報道されるところによると、鉢呂吉雄経済産業相が9日の記者会見で、「東京
電力福島第一原子力発電所の周辺市町村について『死のまち」と表現した.」と
騒ぎ始めた。

その前日の8日には、「放射能をつけちゃうぞ」と記者をからかったという。

はたして、この報道をしたメディア(どこが最初かわからない)は、自分たち
が、何を報道しているのかを分かっているのかが、全くの疑問!
馬鹿でないかとすら思う。

「福島県のみならず、福島原電の周辺には、間違いなく『市の町、村』が存在
するという事実を、この記者はどう考えているのだろうか?

チェルノブイリの放射能値との比較でみれば、日本にも『市の町、村』が存在
するのは明らかだ。ここには、永久にに人は住めない地域だ。

この点に着眼すれば、鉢呂発言を批判するのは全くの間違いであり、客観的な報道の目
の視点から大きくはずれている。

真実をずばりと報道するのが、メディアの存在意義だ。

しかし、彼は国民に真実を伝えることを避けているのだ。

真実は、福島第一原子力発電所の事故の結果、日本にも『死の町、村』が生ま
れたことだ。
では、彼はチェルノブイリを『死の街』と表現していないのか?
いやそうではあるまい。
国内に対してのみ、これを存在しないかのように、しゃあしゃあと報道してい
るのだ。

さらに悪いことに、これらのメディアの報道で、何が起こったのか?

原発事故問題の矮小化が進んでいるのだ。
意図的に問題の矮小化を図っているとしか思えない。

この報道によって、将来、住めない地域が厳然と散在することを覆い隠し、単
なる経済産業大臣の失言問題に論点をすり替えたのだ。
これは、国民にに対する大きな胡麻かしだ。

真正面から、『死の町、村の』の議論をし、事実を明らかにし、その場所に元
から住んでいる人たちに、現実を知ったうえで、今後の自分たちの行動を考え
てもらうべきだ。

それを、大臣の更迭とか、国会運営の駆け引きとか、民主党党内派閥問題にす
り替えようとするのは、全く許せない。

「嫌なことには目をつぶっていよう」とする態度は、太平洋戦争の歴史を通じ
て日本人が体験した自分たちの大きな間違いだったことを忘れてしまったのか?

このメディアには、深く反省してもらいたい。

国民も真実を見分けて、自分の判断をしていくことが絶対に必要だ。
こんな馬鹿な報道に振り回されていないで、自分自身の判断をしていかなくは
ならないのだと強く思う。