地元のコロナウイルスのワクチン接種を予約するのに手こずっている。
何しろ、オーナーのいないシステムを作っているからだ。 オーナーとは、そのシステム使って、ひとつの完結した仕事を達成する為のプロセスに責任を持つ人を言う。組織でも構わないが、最終的には人になる。 業務の初めから、結末迄の管理責任、すなわちオーナーシップだ。
使って見て分かったことは、これは電話をコンピューターに置き換えた以上の機能は、全く持っていないということだった。
電話での予約受付を考えると、申込人の申し込みを聞いて、オペレーターが空きを見て、予約を取るという一連の仕事だが、それをそのままコンピューターに乗っけたに過ぎない。当日の場所による件数が埋まれば、それで受付は完了。システムは終わりましたと終わってしまう。予約できた人のみに予約できたという情報が流れるだけだ。どこかに空きがありますとか、いつだったら予約できますとかの情報提供はない。
人よりも数をこなせるという利点はあるだろうが、それ以上の機能はない。システムには市民に対しての必要充分なコミュニケーションをと手段は考えられてはいなかった。
普通のシステムだったならば、予約可能な人数を場所ごとに把握して、それに対して現在申し込みはどこまで来ているか、例えば8割まで来ているかという状況や何所だったら開いているかを把握しながら、申し込みに対応すべきだ。また翌日には、どこでどのくらいの予約を受け付けられるかを申請者にフィードバックするのが親切だろうが、そんな風にはコンピューターはデータを扱っていなかった。
初日、最大の予約対象を95万人と予測して、最大200万の申請があるだろうとざっと予測して、システムの設定をやっていたようだ。しかし、現実には、500万のアクセスがあったようだ。おそらく、東京八王子の混乱をみんなが学んでいて、知人、家族を含めて、一人の人に対して複数の申し込みが殺到したと考えられる。しかも、最悪の「申し出順:早い者勝ち」方式をとったから、当然回線はパンク、コンピューターはそれ疎処理できないで止まってしまった。
市は、回線を増やし、サーバーを増やしたようだが、申請者に対するフィードバックは行えるようにシステムを直すことはできなかった。申請者は、つんぼ桟敷に置かれたままの姿になっている。予約出来た以外の市民あての情報はなにもない。
これが、日本のICTの現状をよく表していると思う。業務設計の中でのシステム設計が皆無だった。DX(デジタル・トランスフォーメーション)などという言葉ははやっているが、それは、言葉の遊びでしかなかったことが証明された。
P.S.
このシステムは、他の地方公共団体でも使われているようだ。僕のように、手こずっている人がほかにも沢山いると思う。
厚生労働省に期待はできない。たくさんのダメなシステムを乱造しているからだ。