紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

木屋町の喫茶四天王

2007-01-02 23:01:38 | おでかけ
 昨日の京都での話である。

 四条木屋町あたりで、ふとH氏が「あれ? 『みゅーず』(名曲喫茶)がない?」と驚いて、四条通を木屋町に入る。

 うそ!? そんな訳・・・あるのか?? あのイギリスパブ風の二階建ての不滅と思われた名曲喫茶が? でも、確かに『みゅーず』のあった場所には、「何もない」。ものすごい不在感である。

 高瀬川のせせらぎのそばに佇む、クラシックの聴ける(リクエストもできる)喫茶店。ルオーの絵がテーブル毎の白い壁に架かり、静謐な空気が流れていた。川の流れを眼下に、クラシックをBGMに、ひとりでぼんやり本を読んだりした、癒しの喫茶店だったのに。

 ネットで検索すると去年の5月に閉店されたとか。その後、建物も解体されてしまったそうである。残念。
 『みゅーず』に関しては、どんなに京都が変わろうと、永久に不滅だと信じて疑わなかったのだ。不覚である。足元を掬われた思い。無念である。

 そういえば『フランソワ』というレトロな喫茶店は? 旧き善き時代の面影そのままの高級喫茶店。一度だけ行ったような気がする。『ソワレ』という東郷青児の絵が多数ある喫茶店の隣だったように記憶しているのだけれど。違ったかな? 『ソワレ』は健在で、ひとまず安心。ネット上では『フランソワ』閉店の記事を探し当てることがなかったので、もしかすると見間違いか、場所の記憶違いかも。というか、間違いであることを願う。
 
 京都木屋町の喫茶店は、佇まいも、店内の雰囲気も、コーヒーの美味しさもなかなかだった。もっとも『フランソワ』と『ソワレ』は、かなり高級だったので、ビンボーだった20代に、一度行った切りである。高額なメニューにビビったのだ。

 どちらかの喫茶店に入った時、とても甘いものが食べたかった。ところがメニューの料金を見てビックリだったので、一番お値段のかわいらしい「パイ」を注文。出て来たのは「源氏パイ」のでかいのだった。正直、ちょっと泣きそうになった。その時には、別にお店の雰囲気や装飾や調度なんかはどうでもよくて、ただ「ケーキ」が食べたかっただけだったのだ。大失敗だったのである。
 知ってる方が少ない比喩で申し訳ないが、レストランで最低料金のャeトチップスを注文して現物を目の前にした『いなかっぺ大将』の主人公、大ちゃん(風大左衛門)の気持そのままだった。
 それでも両方の喫茶店を制覇している懲りない若き日の私は、何を考えていたのやら。

 ああケーキといえば、四条河原町の高島屋前にあったユーハイムビルもなかったような。非常にショック。とにかく京都の懐かしい喫茶店はガンガン無くなっているな。京都に行くたびショックを受けている。逆に生き残っているお店を発見すると、とてつもなく安堵する。

 『みゅーず』『フランソワ』『ソワレ』と並ぶ木屋町の昔の素敵な喫茶店は『築地』。
 ステンドグラスとレトロ色のタイルに彩られたお店。真紅の椅子に深々と座り、買ったばかりのマンガを1冊読み切った場所、『築地』。照明が暗いので読書には適さないはずの場所なのに。だからかマンガの単行本を読んでいたんだな、きっと。混雑する河原町で私がほっとできる喫茶店は、『みゅーず』もしくは『築地』だった。

 『ミューズ』消滅のショックに「『築地』は? まだあるんやろか?」とあせる私。
路地裏にあった記憶しかないので、場所もうろ覚えだったが、H氏はちゃんと記憶していた。「おおお~あるやん、『築地』」 どっと安心。しかし急いでいたので入らず(悲)

 「『築地』に行ったら、『ウインナコーヒー』注文しなあかんのやったな」とH氏。
「そうそう『築地』の名物やった」
「ウインナ入ってません~って言いそうやった。ウインナコーヒーに、ウインナ入ってません~」
『築地』を確認した安心感で、言い古されたギャグにも微笑むゆとりができる。

 しかし私はけっこう一人で京都を放浪していたんだなあ。京都が生活圏だった時代に、友達や恋人と行ったお店って、あんまり記憶していないのも不思議。ひとりで行ったお店の記憶は、なぜか濃厚だ。でまた、ひとりでよく徘徊していたんだな。

 昨日は急ぎ足で訪ねた京都だったので、もし間違いや詳細情報なんかがありましたら、よろしくお教えください。

PS 地域限定話題で、ごめんなさい。木屋町は夕方より賑わう「飲み屋&怪しいお店の界隈」でもあるのですが、文化的レトロ&名曲喫茶なんかも混在している不思議な場所なのです。京都にお越しの際は、ぜひどうぞ。
 


     『築地』入口のタイル→

本日の写真は、すべてH氏撮影。