紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

ヒアシンスハウス、など。

2007-01-26 00:12:49 | 雑誌
 編集長が交替して第1回目の『暮らしの手帖』を読んでみた。目的は「立原道造のヒアシンスハウス」オンリーである。

 詩人・立原道造が設計した、一人で週末を過ごすための小屋「風信子荘(ヒアシンスハウス)」である。もっとも彼自身はその完成を見る事がなかった。24歳で他界した詩人の夢の小屋を、彼が残したスケッチをもとに2004年に建てられたのである。

 場所は埼玉県の別所沼公園。彼を愛する文学者や建築家のグループが、全国から募金を募って、ついに彼の夢がかなったのである。木造のごく小さな、とてもシンプルな小屋。ベッドと机と椅子と窓だけの、気持のよいちいさな空間。生活臭のない、実に「男の隠れ家」的な、実用的でない夢想された小屋である。彼の夢の小屋が出来上がったのは、彼の死後65年後のことである。

 ところで私は昔から、「小屋」というものにはすこぶる愛着を持っている。特に近所の農家(町内みな農家、といって過言でない)の方々の農機具収納小屋にはよく出入りさせてもらっていた。なぜかそこでよく本を読んでいた記憶が??なぜに? となりのお金持ちの農家の方の小屋には、ハシゴタイプの階段が付いていて2階は藁束が一面に並んでいた。その上で「ハイジ!」とばかり寝そべって本を読もうとしたが、藁ってかなり肌にちくちくするものなのであった。「ひとりハイジごっこ」は即刻中止になった。

 そんなわけで数年前、夫が「『小屋』を作るし(同意してね)」と言った時には「いいねえ、年を取ったら小さい空間であまり動かずに生活できるのが夢やもんなあ」と内心喜んで賛成した。が、彼の最愛のどでかいスピーカーを収納するための「小屋」でもあったということを、すっかり失念していた。
 が、彼はちゃんと先回りして私が苦情を言えないように、部屋の両サイドが本で埋まる「小部屋」も計画の中に組み込まれていたのだ。

 という訳で、憧れの「小屋の主」にはなれずじまいだった。こうなったら、足腰を鍛えて働き者のばあちゃんになるしかしょうがない。他にも「たぬき亭」に巣食う妖怪になるのでは?という家庭内のウワサもある。

 現在の所、私的小屋ベスト3は「ル・コルビジュの小さな家」「旧ヴォーリズの別荘in軽井沢」「吉村順三の軽井沢山荘」である。順位はない。甲乙付け難い「キングズ・オブ・小屋」の皆々さまである。

 それでもさすがは詩人、小屋のネーミングはピカイチですね。「ヒアシンスハウス」のロマンチックで清楚な響きには、イチコロでしたよ。