紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

人生相談は誰に?

2007-01-25 21:18:30 | 読書
 今日のお昼休みに届いたばかりの「本の雑誌」を読んでいた。この雑誌の読みどころは読者投稿である。三角窓口という新聞の「声」欄のような場所もあるが、雑誌の花形、特集での読者投稿ページもある。

 今回は「わくわく初夢本特集」である。こんな本があればぜひ読みたい!という企画の特集だ。
 「こんなタイトルの本が読みたい!読者の夢の本」の一番バッターに、年の初め早々、場外ホームランを見いだした。トップに君臨しているからには、きっと編集部の方も、大いに賛同したに違いない。私も「これは、ぜひぜひ読みたいものであることよ!」と詠嘆を交えて深くうなずいた。

 人生相談である。受けるのもするのも、私の苦手な世界ではあるが、読むのは面白いものである。宇野千代、橋本治、中島らもなど、凄腕の方々が素晴らしい回答をされている世界である。

 今回投稿された三児の母兼主婦の松井さんも、橋本治さんの『青空人生相談所』については絶賛されている。あれは名著ですよね。この1冊を読破すれば、橋本さんの思考回路がある程度マスターでき、悩み事が激減するような幻覚に陥る程、私には効いた。

 松井さんは人生相談をことのほか愛しており、人生相談が充実しているという理由で、新聞を読売に替えるかどうかと思い悩むほどなのである。彼女が考える人生相談の理想的な回答者像は、

 ひとつ、論理的であること
 ふたつ、相談者への思いやりに満ちている事
     (思いやりに溢れるあまり愛の鞭をふるうことも辞さない)
 みっつ、ユーモラスであること。

 大いに頷いてしまう。もうそれ以外にはあり得ない、と即座に洗脳されてしまった。

 そんな彼女がおおいに期待を寄せているのが、ユニークな作品を、末カであることを感じさせない、なめし革のような日本語にされ、かつまた密室で読むしかない爆笑なエッセイを書かれる末ニの岸本佐知子さんである。

 岸本さんが5年ほど前に朝日新聞の書評欄でベストセラーのレビューを連載されていたことがある。そのスクラップをいま読み返してみた。面白いやん! やっぱり彼女は何年経とうと色あせない。

 たとえば『銀座ママが教える「できる男」「できない男」の見分け方』(ますいさくら/著)について。
 彼女はこの本を、どちらかといえば「できない」方に属する男性が、教科書がわりにするのでは?と推測し、銀座ママがいう「できる男」=本宮ひろ志のまんがのなかでしか見たことがない=「サラリーマン金太郎」ではないか、と憶測する。

 その上、精一杯「金太郎」を演じる男も、店を一歩出たら案外「タンマくん」だったりするかもしれない。松茸を食べ損ない「グヤジー」などと地団駄をふんでいたりしているのかも、と空想する。

 『岸本佐知子の人生相談』は「あっぱれ!」としかいいようがない企画である。おもわず拍手してしまったほどだ。それはもう聞いてしまった以上・・・読みたいじゃないですか! たとえ年4回の季刊誌にでもいいから、どうか太っ腹でホネのある出版社に連載をお願いしたい。実現すれば、必ず購入する事をここに誓います。