紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

ココロミました。

2007-01-12 23:12:10 | 読書
 来週の読書会の課題本は白洲正子さんの「私の百人一首」(新潮社)である。彼女の肉声が聞こえて来そうな語り口調にうっとりである。しかも、深くて広大な古典の知識が奈良・平安の歌人達の魂を呼び出すかのようで、ちょっとした巫女の口寄せのようでもある。彼女らしい直感に寄る断言は、文学研究者の緻密で苦労を重ねた研究の裏付けに寄る論証をあざ笑うかのように、鮮やかで胸がすくようだ。

 と、格調たかく始めてしまったが、今日ご紹介する本は別のモノである。まだ、上記の課題本を半分残しているというのに、浮気をしてしまいました。

 さかのぼって1月の4~5日頃、Kちゃんと隣町のスーパー内にある本屋さんへ行った。目的は「カレンダー」だったが、他にも問題集とかいろいろ買って(買わされて)しまった。ここの本屋さんはこの辺りでは、なかなか充実しているので、ついついぎゃはぎゃはと喜んでしまい、2冊までのところを5冊購入の悲劇!?に見舞われてしまうのだ。

 で、店内を見て歩き、Kちゃんと私の鼻と勘が「間違いなく面白い、はず!」と一致して、表紙だけ見て買ったのが「ココロミくん」(べつやく れい/著・絵・企画? アスペクト)である。
 ジャンルは何だろう? 西原理恵子の「できるかな」の、もっとユルい感じ? コマ割りしたカラーイラストと写真で綴るマンガのような実録もの、チャレンジドキュメントとでも言えばいいのか。

 Kちゃんは自己規制して、中学入試が終わるまで「おあずけ」中なので、たぬき亭の踊り場に飾っていたのだが、私はつい魔がさしてしまい、ページを開いてしまった。階段の最下段でひなたぼっこをしながら、怒濤のように50P以上読んでしまった。面白かったのだ。しかも作者のテイストが、あまりに私のツボだった。「かゆいところをくすぐられる」ようなテイストに、私は無条件降伏するしかなかった。

 まず絵がなにげなくクール、シンプル、不条理でいい。しかしこのテイスト、どこかでみたぞ。文章もクール、シンプル、不条理でいい。このテイストも、たしかに読んだ事があるような・・・。
 バカバカしくてナンセンスだけど、ふと気になった事を手間も時間もかけて、熱心にココロミてみる。いたいた、こういう人! 

 思い出したよ、宮田珠己さんだ! ふふふ・・・べつやくさん、宮田珠己さんのこと、愛してるでしょ? かなりの影響をうけていると見た。でも彼だけではなく、テレビからの影響もあったりするような。

 しかし、おもしろいがな!と、個人的には、かなりおすすめしたい。

 のっけから「三千円を握りしめ、『おしゃれな長靴』を探す」という企画に拍手。そのしょんぼりな結末やいかに。
 鉄棒にぶらさがり、「さかさまになって飲み食いする」というほぼ写真使用の著者のからだを張った体当たりな企画と、その企画にまつわる意外な盲点とは。
 「ことわざ」を実際にやってみる企画も、目の当たりにする「ことわざ」の真実に「おお~」と声をあげてしまった。

 コスプレがおたくだけのものではない、もっと一般人にコスプレの自由を、と立ち上がり、「スターバックスコーヒーの店員のコスプレ」など、地味なコスプレをして街をゆくべつやくさん、かなり、いい。

 頭にバックミラーを付けて街に飛び出し、「案外、いいです」という結論に達したべつやくさん。「後ろから指をさされて笑われているのだって見えるのだ。『いま、笑ってただろ』って言いたい放題だ。バックミラーを通じて、今まで見えなかった人間関係も見えるかもしれません。」

 ほかにも「かっこいい鼻メガネ」を自作(べつやくさん手づくりです!)自演(自分の顔に付けて街をゆく)したり、カニのはさみを使いこなしたり、おっさんの世界に溶け込んでみたりする。あああ、やっぱり、おもしろいがな!

 ちなみに、べつやくさんは、とてもかわいい女性です。