紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

男の涙

2007-11-10 22:39:35 | テレビ
 かつて「女の涙は最大の武器だ」と言った政治家がいた。そのときはずいぶん「???」と思ったのだけど、今週、実はちょっと意見を変えざるをえないことになってしまった。もっとも、少々(?)彼の言葉を変えなくてはならないのだけれど。「女」ではなく「異性」と。「武器」ではなく「魅力」と。

 またもや『ちりとてちん』ばなしで申し訳ないのだが、今週は、干されて毎日グウタラしているだけの落語の師匠の元に残ったただ一人の弟子と主人公の女の子が、かつて同門の弟子だった兄弟弟子二人を、紆余曲折の末、再び呼び戻すまでを描いていた。

 これがもう、毎日泣ける話が続いたのだ。そして兄弟弟子たちは、それぞれの個性を発揮して、あるときはしみじみと、あるいは豪快に、はたまた、あまりにかっこよく泣くのだ。悲しみのどん底の涙や、悔し涙や、うれし涙を流すのである。この涙のバリエーションの演じ分けや、シチュエーションも申し分なく、男の涙を堪能した。

 かつて彼らが弟子だった時の、師匠・草若の情の深さ、師弟間の絆の深さを、ほんの小さなエピソードとして挿む事によって、彼らの涙の深さを、見ている私たちも知る事になる。そのあたりの「挿み方」がまた、うまいのなんの。

 ちょっと前の一般常識では、男の涙は軟弱の極み、みたいに言われていたが、なんのなんの。今週登場したばかりの彼らとの距離が、涙効果で、ぐぐっと急接近だった。泣く男、というのは、無防備でセクシーで、なおかつハートフルなものだから、女心としては穏やかでいられないのである。

 だから現在片思い中の草々さんの号泣する姿をみた主人公、喜代美ちゃんことキーコが「絶対私がなんとかせんと!」と決意したのも、むべなるかな、なのだ。わかるわー、それ! そして悲願を達成した時のキーコの笑顔の晴れ晴れしいこと。

 そんな今週の話で、一番私のツボだったのは、キーコが中国料理店に人探しのため入った場面。
 中国人の店員さんたちが「いらっしゃいませ~」と日本語で愛想良く言うのに、「お客」じゃないとわかったとたん、中国語で「あんた一体誰?」「中国語で言わないとわからないわ」と手のひらを返したようにぞんざいに毒づくのだ。
 しかし、中国語がちんぷんかんぷんなはずのキーコは、彼らの中国語を聞いてこういう。「わたし、和田喜代美アルヨ」「四草(しーそー)さん、知らないアルか?」
 きみはゼンジー北京か~(笑)