紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

王様のアイディア

2007-11-22 00:07:43 | お買いもの
 心に人生の空しさが募る時には、人は旅に出るのかもしれない。が、経済的、時間的な問題もあり、そうそう旅立つ訳にもいかないのが現実だ。

 京都が生活圏で、京都駅界隈を徘徊していた時代、地下街ャ泣^は、ある意味心の友だった。
 洋服も靴もカバンも、たくさん見た。もっとも残念ながらたくさん買うことはできなかった。本屋さんで本の背中(タイトル)もたくさん読んだ。雑貨や京都のお土産屋さんや、和風ファンシーグッズや和風雑貨の店内も彷徨った。ことに文房具のお店が好きだった。

 シェーファーのボールペンやペリカンの万年筆を使っていた頃である。ほんとは今はなき丸善京都店の舶来文具売り場が、高校生の頃から、一番の憧れの場所だったのだ。

 しかしそんな夢多き売り場の数々の中で、私が最も心安らげる癒しの場所だったのは、賑やかな地下街の辺境に追いやられた小さな一角にあるお店だった。人通りも少ない場所に、ひっそりと佇む『王様のアイディア』というお店である。売られているのは、ユニークグッズというか、市井の発明マニアが満を持しました!というような、比較的小物な商品が、所狭し!と並べられていた。

 しかし、『王様』なのに、なぜにこんな辺境におられるのか?という謎は、その品揃えを見れば、たちまち氷解するであろう。その中に、「生活必需品」と呼べるものは皆無に等しい。

 しかも、あんなに憩いの場としていた私にしても、20年以上の歳月の後まで覚えている品物は無いに等しい。「笑い袋」とか「先が光るみみかき」とかくらいかな。

 それなのに、なんでわざわざ『王様のアイディア』について書いてみたのかといえば、さっき、ふとPC検索をかけてみれば。あっと驚く衝撃の事態に出くわしてしまったからだ。『王様のアイディア』、2007年5月をもって閉店されていた。

 まあ、たしかに私だって、憩っていたにもかかわらず、がんがん購入することがなかったもんな。というか、そういうお店ではなかったんだろうな。あってもなくてもいいものしか売っていないんだもの。

 でも、閉店されたというと、私は何の貢献もしていないのにこんなことを云うのはなんだが、やっぱり寂しい。「あってもなくてもいいもの」が消えていく世の中って、やっぱりつまらない。