昨日より続きます。長浜地元のオーディオマニアに推薦していただいた『中島屋食堂』に行ってみることに。
長浜は、昨日の写真でおわかりのように、なにしろ昔ながらの旧い建物や佇まいが健在で、北国街道を入ったところにも、たくさん魅力的なお店がある。それらを蹴って駅前に戻り、子どもの頃の昭和40年代の大衆食堂そのままの店構えに、思わず夫婦で盛り上がる。(お店の入口。クリックすると拡大出来ます)
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がらがらとガラス戸を開けて入れば、おばあちゃんがちょっと焦ったように、
「2、30分ほどかかりますけど、かまいませんか?」
急ぐ旅ではないので(お腹はかなり空いていたけど)、かまいません。
お客はおよそ15人程いて、2テーブルを残す感じで、去っては入って来る。お昼にしては遅い時間なのに、不思議な程客が途切れない。お客が来るたびに、おばあちゃんが「お急ぎでないですか? 2、30分かかりますけど」といちいち確認してから、お客を入れていた。
そんなに時間がかかる訳が、ほどなく判明。家族経営で、しかも接客担当は2名で、さっきのおばあちゃん(推定70歳)と、彼女よりさらにもう一世代上のおばあちゃん(年齢不詳だが、かなりなものとは判る)が、客をさばいて!?いるのだ。注文を聞いて、お盆を運び、食器を下げる。そしてレジもする。
店内は不思議な時間が流れている。少なくとも「平成」ではない。明らかに、「昭和」だ。ほぼ三和土にテーブル、大衆食堂風のビニール椅子がほとんどだが、畳にあがる席も2テーブルある。奥のお座敷テーブルは、昔懐かしい丸いちゃぶ台なのだ。
壁中、いろんなものが貼られていた。
昨年の湖東三山秘仏御開帳の記念の品、昨年の上方落語家の名前が一門毎に書かれた手ぬぐい。大相撲関係のものもあった。他にもお酒やビールの本物の(たぶんリアルタイムで貼られた)レトロ広告ャXターや、観光記念品や雑誌かなにかの切り抜きみたいな花の画や写真。
一見なんの統一も無いそれらが、うるさくなく不思議に調和がとれている。それはもう、魔法のような見事なハーモニーだ。
テーブルにはメニューは、ない。メニューは壁に貼られた限られたもののみ。うどん(そば)が5種類ほど、お寿司関係、お酒など。「きゅうり巻き」の下には「地物きゅうり巻きたて」と、補足説明がある。お寿司の巻物を「巻きたて」という売り文句にしたのは、初めて見た。なんだか、かわいい。
私たちは「あなごうどん」「天ぷらうどん」「鯖寿司」を注文してみる。「あなごうどん」と「鯖寿司」は、絶対美味しいという天の声が聞こえた気がしたのだ。ことに「鯖寿司」は、「寒サバ焼津真鯖使用。当店名物」とあるので、お店サイドのアツい強力プッシュぶりに、あふれる自信を感じ取ったのだ。しかも「鯖寿司を食べずには帰れまい」という気迫の籠った3色使いの文字である。注文しないわけにはいかないだろう。
そして、どれもとても美味しかった。でもこれはなんだかグルメガイドに載ってるような、厳選素材で味を追求する職人技とは、ちょっと違う。とても優しくて「一生懸命こころをこめて、丁寧に作りました」感に溢れているのだ。そういう美味しさ。
普通の大衆食堂のおじさん、おばさんが、日日一生懸命に、一歩ずつ前進していくようなおいしさ。眉間にシワを寄せる感じでなく、「もうちょっと、こうしたら?」「この材料はここにきめた」と思いやりと工夫と向上心のなせる技で、しかもたぶんチームワーク抜群なのだ。
お店を出るときH氏が、レジを打っていたお店の人に「おばあちゃん、いくつ?」と聞いたら、姿勢良く白髪頭を持ち上げて「明治43年生まれ!」とおっしゃり、横に控えてらっしゃった、もうひとりのおばあちゃんが「いくつか計算してください」とにこやかにフォローされた。
99歳でレジ打ちをされるなんて、もしかして日本一高齢のレジ打ち者かも。
みなさん、長浜に来たら、ぜひ「中島屋食堂」へ。もうすっかりファンです~♪
長浜は、昨日の写真でおわかりのように、なにしろ昔ながらの旧い建物や佇まいが健在で、北国街道を入ったところにも、たくさん魅力的なお店がある。それらを蹴って駅前に戻り、子どもの頃の昭和40年代の大衆食堂そのままの店構えに、思わず夫婦で盛り上がる。(お店の入口。クリックすると拡大出来ます)
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がらがらとガラス戸を開けて入れば、おばあちゃんがちょっと焦ったように、
「2、30分ほどかかりますけど、かまいませんか?」
急ぐ旅ではないので(お腹はかなり空いていたけど)、かまいません。
お客はおよそ15人程いて、2テーブルを残す感じで、去っては入って来る。お昼にしては遅い時間なのに、不思議な程客が途切れない。お客が来るたびに、おばあちゃんが「お急ぎでないですか? 2、30分かかりますけど」といちいち確認してから、お客を入れていた。
そんなに時間がかかる訳が、ほどなく判明。家族経営で、しかも接客担当は2名で、さっきのおばあちゃん(推定70歳)と、彼女よりさらにもう一世代上のおばあちゃん(年齢不詳だが、かなりなものとは判る)が、客をさばいて!?いるのだ。注文を聞いて、お盆を運び、食器を下げる。そしてレジもする。
店内は不思議な時間が流れている。少なくとも「平成」ではない。明らかに、「昭和」だ。ほぼ三和土にテーブル、大衆食堂風のビニール椅子がほとんどだが、畳にあがる席も2テーブルある。奥のお座敷テーブルは、昔懐かしい丸いちゃぶ台なのだ。
壁中、いろんなものが貼られていた。
昨年の湖東三山秘仏御開帳の記念の品、昨年の上方落語家の名前が一門毎に書かれた手ぬぐい。大相撲関係のものもあった。他にもお酒やビールの本物の(たぶんリアルタイムで貼られた)レトロ広告ャXターや、観光記念品や雑誌かなにかの切り抜きみたいな花の画や写真。
一見なんの統一も無いそれらが、うるさくなく不思議に調和がとれている。それはもう、魔法のような見事なハーモニーだ。
テーブルにはメニューは、ない。メニューは壁に貼られた限られたもののみ。うどん(そば)が5種類ほど、お寿司関係、お酒など。「きゅうり巻き」の下には「地物きゅうり巻きたて」と、補足説明がある。お寿司の巻物を「巻きたて」という売り文句にしたのは、初めて見た。なんだか、かわいい。
私たちは「あなごうどん」「天ぷらうどん」「鯖寿司」を注文してみる。「あなごうどん」と「鯖寿司」は、絶対美味しいという天の声が聞こえた気がしたのだ。ことに「鯖寿司」は、「寒サバ焼津真鯖使用。当店名物」とあるので、お店サイドのアツい強力プッシュぶりに、あふれる自信を感じ取ったのだ。しかも「鯖寿司を食べずには帰れまい」という気迫の籠った3色使いの文字である。注文しないわけにはいかないだろう。
そして、どれもとても美味しかった。でもこれはなんだかグルメガイドに載ってるような、厳選素材で味を追求する職人技とは、ちょっと違う。とても優しくて「一生懸命こころをこめて、丁寧に作りました」感に溢れているのだ。そういう美味しさ。
普通の大衆食堂のおじさん、おばさんが、日日一生懸命に、一歩ずつ前進していくようなおいしさ。眉間にシワを寄せる感じでなく、「もうちょっと、こうしたら?」「この材料はここにきめた」と思いやりと工夫と向上心のなせる技で、しかもたぶんチームワーク抜群なのだ。
お店を出るときH氏が、レジを打っていたお店の人に「おばあちゃん、いくつ?」と聞いたら、姿勢良く白髪頭を持ち上げて「明治43年生まれ!」とおっしゃり、横に控えてらっしゃった、もうひとりのおばあちゃんが「いくつか計算してください」とにこやかにフォローされた。
99歳でレジ打ちをされるなんて、もしかして日本一高齢のレジ打ち者かも。
みなさん、長浜に来たら、ぜひ「中島屋食堂」へ。もうすっかりファンです~♪