紙魚子の小部屋 パート1

節操のない読書、テレビやラジオの感想、お買い物のあれこれ、家族漫才を、ほぼ毎日書いています。

語りの力

2007-11-29 23:16:21 | 学校
 もう10日ばかり前の話になるけれど、小学校の「よみきかせグループ」のメンバーが、少し離れた地域のベテランの「おはなし会」の方々に来ていただいて、小学生全学年にお話をしていただく、という催しをされたので、私も「よみきかせグループ」に所属していないにもかかわらず、お誘いくださり、ありがたく末席にて見学させていただいた。

 ほんとはオトナとしては、子どもに語って聞かせる時のテクニックを観察するとか、そういう風な見方もありだったんだろうけど、完全に物語の中に引きずり込まれてしまったのだ。はらはらしたり、笑ったり、どきどきしたり、あまりに食べ物描写がリアルで、よだれが出そうになったり。

 「食べられる」とか「食べる」とかの話が多くて、この手の話は「子どもには残酷では」という意見もありそうなのだけれど、やっぱり「食うか食われるか」ってインパクトのある基本的な話なんだなあ・・・と感心して聞き入ってしまった。久々に物語の洗礼を受けました、って風だった。

 1学年ひとクラスとはいえ、やはり年齢が違えば、物語も多少は変化するので、低学年、中学年、高学年と3ブロックが交替で聞きに来てくれた。

 高学年はやはりちょっとひねりがあるもの(『絵くんとことばくん』天野祐吉/大槻あかね)を選ばれていて、私も心中「へええ~、へええ~」としきりに感心して、次の展開を待つ。(紙芝居だったので) 最初は子どもたちには、ちょっと「おはなしを聞かせてもらう? そんな幼稚なこと!」っぽい空気もあったのだが、どんどんみんなが集中して空気が熱を帯びるのがわかる。

 低学年は、わからないところがあっても、圧唐ウれたりノリで盛り上がって行く。女の子同士で「こわぁい~♪」といいつつ抱き合ったり(でもニコニコ顔)、ほのぼのするようなかわいらしい様子で聞き入っている。(素話『うしかたとやまんば』のとき)

 しかしやっぱり一番ノリがいいのは、3、4年生。それも長新太さんのナンセンスな話を巻き絵にしてあるので、盛り上がることと言ったら!(『なにをたべたかわかる?』) 絵もとってもキュートだし。観ようによっては「残酷物語」も、ャbプでキュートなナンセンスとして消化される。

 特筆すべきは子どもたちが盛り上がって興奮しだしても、唇に指を当てるだけで波紋がひろがるように、徐々に静かになること。おもしろくて楽しいことの最中に叱られる程つまらないことはないですからね。その辺もよくわかっていらっしゃる「おはなし会」の方々に感心。つい、「静かに!!」って言ってしまいそうなんだけど。

ほかにもいくつかのお話をしていただいて、楽しい半日を過ごすことができた。

 私は生素話を初めて聞いたけれど、本当に「ぱあっ!」と景色が浮かんで、気温や風の感じや明暗や匂いや言葉には無い音までも感じるという経験をした。語りの力って、すごい!

 お昼ご飯を、ベテランお話会の方々とみんなで一緒に取ってお話ができたが、その中で、「この小学校の子どもたちは、お話を聞く受入態勢がちゃんとあるので、とってもやりやすかった」とおっしゃってくださったのが、なるほどだった。

 そうか、いくら語りが完璧でも、聞いてくれる耳や感受性がなければ届かないんだ。一方通行じゃ無い、双方向の交信が「おはなしをする」っていうことなんだな。納得。