花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

それ、違法です

2020年11月22日 | 学校
インディアンサマー(アメリカ)、おばあさんの夏(ドイツ、ロシア)、
聖ルカの夏(イギリス)。すべて小春日和のこと。
旧暦10月頃、つまりちょうど今頃の暖かな日のことをいいます。
どんどん冬に向かっている南部町ですが
先週あたりは日中の気温が15℃ぐらいまで上がり
久しぶりに暖かさを感じました。
したがって町の流れる馬淵川、そびえる名久井岳を
気持ちよく眺めることができました。
さて鮭が遡上する馬淵川ですが、とうとう梁が作られました。
撮影しているこの橋ではなく、もうひとつ奥の名久井岳よりの橋あたりです。
かつて第1農場で水田を担当し、生徒と歩いて農場に行く際、
上から覗くと大きな鮭が見えたものです。
そんな頃、生徒が面白いことを話していました。
釣りが趣味の彼、馬淵川で大きな魚を発見。
釣ったのか、捕まえたのが分かりませんが、運よくゲット。
自転車のカゴに入れて急いで家に帰ったというのです。
それは鮭、勝手にとったら違法だろ!
みんなに突っ込まれていたのを覚えています。
それぐらいたくさん遡上していました。
あれから30年以上も経ち、今はもっぱら自動車での移動。
鮭はもちろん、ウグイやアユを狙う釣り人の姿をみる機会も減りました。
もう一度歩いてみようか、そんな気にさせる小春日和です。
コメント

伝家の宝刀

2020年11月22日 | 研究
放送室でレコーディングに挑戦しているのはハンターズ。
発表を録音したパワーポイントを大会に提出する必要があるからです。
面白いのは集まっているのが3年生とJr.の1年生男子であること。
この日のレコーディングディレクターもJr.が務めています。
実は今年ハンターズは世界大会を目指すことになったため
今までのように十分Jr.をサポートできる時間を作れませんでした。
そこで男女二組のJr.には苦し紛れで、それぞれハンターズが使った余り物で
できる新しい実験を提案してみました。
男子に示された課題は、3年生が世界大会で披露する三和土に、
何か天然物を加えて三和土から溶出する成分を抑えること。
まさに無茶振り。自分たちができなかった難題をなんとJr.に課したのです。
可能性のある添加物をたくさん用意したのはハンターズですが、
どれを使うかはJr.に任されました。彼らは世界大会を目指して
一生懸命取り組む先輩の姿を見ながら、自分たちも時間を作っては取り組んだ結果、
なんと窒素やリン酸、カルシウムなどの溶出をほぼ抑制するのに成功しました。
先日、大学主催のオンライン発表会でその成果を披露した男子。
ビギナーズラックでしっかりと受賞しました。
その後も別な大会に出場が決まったハンターズLr.。
今度は先輩との共同研究、コラボレーションというスタイルで臨むため、
このようにJr.と3年生共同でパワーポイントへレコーディングしているのです。
驚いたのがJr.の発表のうまさ。これにはハンターズも感心しました。
残念ながら大会は動画審査。実際に発表することはないため
男子Jr.の発表のうまさや機転のきく質疑応答への対応を活かすことはできませんが
先輩と後輩がワンチームとなり協力して取り組むという
フローラ譲りの「伝家の宝刀」が今年も披露できそうです。
コメント

神々の年取り

2020年11月22日 | 環境システム科
何をしているかわかりますか。
白いものはお餅。鍋で煮たお餅を冷水でしめているのです。
作っているのは前任校の女子生徒。料理の名前は「なべっこ団子」。
直径3〜4cmの丸いお餅の真ん中を、指で押しておへそのように
へこませるので「へっちょこ団子」とも呼ばれている郷土料理です。
お汁粉とほぼ同じですが、冷水でしめた歯ごたえのあるお餅が特徴です。
この写真は学校設定科目として立ち上げた「食農科学」の一コマです。
田舎といえども、どんどん郷土料理が消えています。
祖父母と暮らさなくなったため、祖母から母へ、母から子へという
伝承の仕組みが途絶えているのが原因といわれています。
この地域はヤマセが吹くため、かつてはお米が採れない地域でした。
したがって様々な雑穀料理が伝統料理として誕生しています。
なんとか伝承したい。そこで男である農業教員たちと連携して作った科目です。
指導されるのは地域のおばあさんたち。孫に教えるようで楽しいと
喜んで来校してくださいました。伝授される料理は年間6品目ぐらい。
おばあさんのお話や使われる食材の栽培や料理の仕方を通して
先人の自給自足の暮らしが見えてきて、とても有意義でした。
さてアワとヒエが主食の先人。どうしてお米を使うなべっこ団子を作るのでしょう。
理由はお供え。貴重なお米を使う料理は、すべて神様への供物なのです。
私たちの年越し(こちらでは年取り)は12月31日。しかしお世話になった
神様に年越し料理をお供えする前に人が食べるわけにはいきません。
先人の時代は神様が家にたくさんいたので、日をかえて順番にお祝いしていきました。
その期間はなんと1ケ月。毎日のようにそれぞれの神様の料理を作ったのです。
このなべっこ団子は大師講様(弘法大師)の年取り料理。
数ある料理の中、最初に作られるものです。その日が旧暦の11月23日。
数ある郷土料理の中でもなべっこ団子の美味しさはNo.1。
当時も子供もみんな楽しみにしていたようです。
この「食農科学」は地域を巻き込んだユニークな科目として全国誌でも紹介されるなど
人気科目でしたが、学科再編でこの学科はすでに募集停止。
教科書は今も手元に残っていますが、幻の科目となってしまいました。
先人の知恵を伝承するすべも失しなわれ、今後が心配です。
冬が近づいています。ぜひお子さんと作ってみてはいかがですか。
なおそんな食農科学の取り組みのブログは今も閉じずに残っています。
機会があったらぜひご覧ください。
コメント