花のたより☆山のふみ~青森県立名久井農業高等学校~

農業と環境の研究グループ「チームフローラフォトニクス」と弟分である「ハンターズ」の取組みを紹介します!

鳥の眼

2021年02月19日 | 研究
ハンターズが倉庫がわりに使っている土肥実験室の準備室。
片付けをしていますが、そこから古いノートが数冊出てきました。
おそらくご覧になっても、いったい何を描いているのかわかならいと思います。
なぜなら人に提出して見せるためでなく、自分たちの頭の中を
整理するために書かれたものばかりだからです。
研究を進める時、どのような疑問を解くために
どのような方法で実験をするのか、栽培するにはどうすれば良いのかなど
いろいろ決めておかなければなりません。
メンバーはそれぞれ頭の中でぼんやりとイメージはあるものの
それをノートに書いて見える化すると、面白いように矛盾や改善点が見つかります。
そこでああでもない、こうでもないとノートにベラベラ描きながら設計図を作るのです。
このページはだいぶ整理されていますが、その前のページは鉛筆でぐちゃぐちゃでした。
これは2018年、世界大会を目指すファイナルフローラが
温室でどのような区を設定するかを整理したもの。
この図に基づいて30個以上もの水槽を注文することになったのです。
4月になるとジェットスタートを切る環境班。
このような設計図があるからこそ、フローラもハンターズも
悩まずに8月のゴールを目指して突っ走れるのです。
ぜひ冬のうちに頭の見える化に励んでみてください。
そういえば昔、弁論大会に出場することになった生徒。
ある学校の校長先生に指導してもらおうと原稿を持って行ったら
こう言われたそうです。「このお話を図に示して持ってきて!」
ナイス指導です。ピントくる人、こない人。さまざまだと思いますが
研究でも作文でも、ちょっと俯瞰して見る鳥の眼が大切です。
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土台はできている

2021年02月19日 | 研究
2010年3月、東京大学で開催された日本農芸化学会主催のポスター発表会表彰式です。
この年、初めてポスター発表会に出場したチーム名農。
しかしどの大会もSSHばかりで農業高校はまったくいません。
そんな場違いの世界に飛び込んだため、SSHの生徒からはいつも冷たい眼差し。
当然、表彰式では下位の賞から順に発表されていきますが呼ばれません。
ところが最後の一校、つまり最優秀で学校名が呼ばれたではありませんか。
テーブルの上の料理だけはSSHに負けられないと夢中に食べていた名農生は
誰も気づきません。周りにいわれてびっくり。もちろんSSHも目がテンです。
受賞したのは女子二人組。フローラの兄弟分である2代目アップルガールズです。
彼女たちが発表したのは「遮光がリンゴの果実の品質に及ぼす影響」。つまり白いリンゴです。
当時テクノ愛でグランプリを受賞したこともあり全国の新聞やテレビを賑わしている真っ最中。
他校の生徒さんも質問してくださる専門家の先生もその存在はすでに承知しているよう。
あの「白いリンゴ」の発表だとポスター前にはひときわ人だかりができていました。
しかし話題だけではありません。先輩から「白いリンゴ」の研究を引き継いだ女子たちは
遮光することで果皮の色や厚さ、糖度、硬度、果汁量などがどう変わるのか、
またなぜ真空パックで冷蔵保存すると1ヶ月以上も白い肌のままいられるのかなど
植物生理の面から品質を考察したユニークなポスターを披露。
さらに元気な農高女子らしい元気でキレの良い質疑応答が先生方からも好評でした。
これを機に名農農業クラブは校内行事にポスター発表を導入しました。
面白いことに名農に導入されたポスター発表の文化は、みるみる県内の農業高校に波及。
現在はどの農業学校でもポスター発表を楽しむようになっているそうです。
農業クラブの県大会の研究発表会は各校3チームしか出場できません。
しかしポスター発表ならたとえ50チームでも出場可能。いつの日か全国大会とは関係なく
県農ク主催のポスター発表会が県大会やリーダー研で開催され、各校の生徒みんなと
わいわい発表し合う文化が育っていったらどんなに素晴らしいことでしょう。
もう土台はできています。農業高校の底力を広く知ってもらうためにも
全国に先駆け、青森県連が初めてチャレンジしてはいかがでしょうか。
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