菊地晴夫の美瑛写真家日記

美瑛・富良野の旬の情報や、最近の出来事をご紹介いたします。

刷り出し終了

2011年06月02日 | Weblog
 
「2012年 美瑛・富良野カレンダー」二つ折りの刷り出しが終了しました。
朝から印刷所に詰めて、色をチェックしながらの本印刷です。
通常は版下色校正という行程で写真の色味調整などを行うのですが、そこでOKを出しても私は必ず刷り出しにも立ち会います。
色に対する見方や見え方は人によって多少違ってくるからです。
大きな印刷機を回すオペレーターはプロ中のプロですが、やはりその感覚は微妙に異なります。
版下色校正で出した色を忠実に本印刷で再現できるよう、刷り出すときに何度も注文を付けながらテスト印刷を繰り返し見本に合わせていきます。
一度色を修正するたびに沢山の紙を使うので、かなりもったいない話ですが致し方ありません。

でも、私がこだわるのは細部の色ではありません。
少し矛盾するかもしれませんが、正直色はある程度合っていれば問題無く進めます。
最も重要視するのは写真全体のイメージです。
写真を撮るという行為は、その時に何かしら心に触れるものがあるからです。
その時の思いが、物理的に印刷された1枚の紙から伝わってくるか、あるいは伝えているかです。
作家さんによっては細部の色を最優先に重要視する方がいます。
それはそれで大切なことですが、特に風景に関しては鑑賞者が実物の色を知っている訳ではありませんし、また、カメラという道具で捉えた色が果たしてそれが本物の色なのかどうかこれも疑問です。
フイルムもメーカーによって発色が違うし、デジカメもメーカーによってその色は大きく異なります。
こだわって出した色にしても、人間はその忠実な色再現に感銘を受けるわけではないからです。
逆を言えば心に触れるような作品を撮れるかどうかにも繋がります。
発表すると言うことは、試されているということ。
「心で撮り、心を伝える」、ということを念頭に置いて撮影していきたいと常々思っています。

<つづく>