企業の過剰な競争と宣伝に対する風刺です。
マルコヴァルドさんの子どもたちはは、洗剤会社が各家の郵便受けに配る見本品の無料交換券を集めることに夢中になります。
ライヴァル会社が次々に参入して宣伝合戦は過熱し、無料交換券の枚数も見本品の大きさもどんどんエスカレートしていきます。
一方、マルコヴァルドさんの子どもたちの無料交換券収集も、周囲の子どもたちも巻き込んで組織化されてエリアも拡大していきます。
宣伝効果に疑問を持った(無料交換券は配る先から子どもたちに横取りされて、彼らのターゲットの主婦の手には届いていないのですから無理もありません)洗剤会社たちは、見本品を直接主婦に手渡す作戦に切り替えます。
そのころにはすでに、無料交換券を使って交換した洗剤の見本品は、マルコヴァルドさんの家にあふれるほど大量に蓄えられていました。
次の段階として、子どもたちは見本品を売りさばこうとしますが、直接ただで手に入るようになった見本品を買うような人は誰もいません。
そのうちに、洗剤会社にその存在を気づかれ、警察に訴えられます。
それまで黙認していたマルコヴァルドさんは、あわてて子どもたちに洗剤を捨てに行くように命じます。
子どもたちは、大量の洗剤の見本品を川に捨てます。
翌朝、風にあおられて舞い上がったたくさんの巨大な洗剤のあわが、町の上空を覆い尽くします。
朝日をあびて虹色に輝く巨大なあわは、町の人々を興奮させました。
しかし、やがていつものように工場の煙突から噴き出したけむりによって、泡はかき消され、つかの間の夢は消えて、いつものつまらない日常が始まりました。