エスプレッソマシンの基礎
この説明に使ってるダイヤクラム(図)はパクリです。許してね・・
■まず最初に、現代のマシンの基礎知識です。多くのマシンに使われるE61ヘッドは金属製の重く大きなヘッドを持ってます。その目的は当然ながら熱をキープする為なのはお分かりと思います。だから、試しに貴方のエスプレッソマシンの主電源をOFFにしてその後も、例えば3時間後でも、このヘッドの温度はとても熱いのを確認下さい。
なぜかと言うと、電源切っても、熱々ボイラーとの間で熱対流で循環系を開いて構成しているからです。その為に、上の写真で見るようにヘッドの「しくみ」として裏側には水(お湯ですね)の入口と出口があります。緑色の穴のこと
循環は自然対流です。これはよく考えられてます。
それとエスプレッソ抽出時の動作の絡みで横に「3WAY ソレノイド」が使われているわけです。ほ~~~
E61 Grouphead それが現代マシンの特徴でもあります。1961年 FAEMA社によりリリースされ、その後のエスプレッソマシンの方向性を決めました。それが今も綿々と続いてるわけです。
同じ年にLa Marzocco社によりHX機が発売されます。
この二つが近代マシンの魁です。
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現代のマシン基本概念(HX)
この上の図は、HX(heart Exchanger)です。ボイラーの水がエスプレッソ抽出に使われることはありません。抽出の水は独立して新鮮なものがボイラーの中(黒い管)を通って熱くなります。温度はプレッシャースタットでヒーターをコントロールして調整します。
これも以前にも書きましたが、お暇な店で紅茶なんて頼むと、このずっと使われてないボイラー内の水(湯)が出てくるわけです。(HX機ね) マジですぅ~~~。
さて、あなたがコントロールスイッチをONにして「抽出」をマシンに命令すると、ポンプが作動し、ソレノイド(赤箱)がポンプとの回路を開き、図には載ってませんが「PRE-HEART UNIT」なんかも有り、循環系の水と混じって圧力に押され(9BAR)抽出されます。
つまり、エスプレッソマシンの抽出圧力は、ポンプの能力ということです。調整は簡単です。よーく観察して下さい、スイッチ入れると圧力計がグーンと上がりますね。
もっと簡単に書くと、「横入りしてきます」
ボイラーそれ自体はそれほど高い気圧ではありません。1.3程度(これも簡単です)
ここから先の進歩が各社の「設計思想」の違いで分かれてゆきます。
ダブル・ボイラーとは、2個のボイラーを独立させたものです。多分、北米の需要、つまりラテ系のマシンだということです。PIDも最近はよく目にします。
■上図はBASICなタイプの例です。この図ではエスプレッソ抽出がカットされてます。ボイラーは制御されて満水になることあありません。ここから蒸気、と熱湯が供給されます。つまり、蒸気(スチーム)と熱湯(紅茶用、或いはカップ温め)は、エスプレッソ抽出とは、「系」が違いますので、
蒸気(スチーム)が沢山出ているからマシンが正常とか、否かの判断には全くなりません。しかし、この単純なステームが出てないならヒーターや電源故障であることは誰でも判ります。ボイラーが熱くなっていれば取り敢えずよろしいわけです。
現実には、これにセンサー類、配管、電線などが複雑に入り組んでいます。
複雑に見えても、ポンプで押された水が銅管を通ってコーヒーの粉から抽出するだけですから、会社別に、味が変わるわけがございません。
マルゾッコだから、シモネリより美味い!なんて言うのは、代表的なお馬鹿様です。スタビリティーが違います。
■典型的(実はかなりのスグレものです)な家庭用エスプレッソマシンのカバーを取り外した写真ですが、基本は同じです。
銅で出来たボイラー、その横のモーターにポンプが駆動されます。単純です、ボイラーの中の電気ヒーターで水を温めて、ポンプを駆動して押出すのです、写真ではロータリーポンプです。(小さな)
つまり家庭用ですが、このマシンは業務用に準じたしっかりした構成になってます。構成部品は小さいので性能はソコソコ(笑)です。ミニチュア版を作りましたって感じです。Vibiemme ヴィビエンメです。 軽自動車フル装備です。
しかしです。ノーマルの「カムリ」には到底勝てはしませんよ。
■小さなお店用でも業務用と思うと、
①ロータリーポンプ
②水道直結可能なモデル
③ダブル・ボイラー (私は全く不要と思います。)
④E61(ダラコルテ除く) という優先順位には考えらますね
⑤多くの「カフェ坊」には一番大事なのはデザインかもしれませんが
■今でも、ボイラーに電気ヒーターを使わず、ガスで加熱する機種も販売されてます。大きな電流が取れない野外ではいいと思います。その燃費もいいでしょう。
いずれにしても、日本には本当の情報が入ってないことが問題です。
■これもHXの一つのタイプ、安価なエスプレッソマシンに使われてます。ボイラーはないです。当然ながら、大量の抽出は出来ません。あくまで家庭用です。家庭用では1時間に300杯の能力は要求されません。1杯か2杯です。
デロンギなんてコレですね、で中国製ですから安価です。良い悪いではありません。安価だと
マルゾッコのボイラーはステンレスです。溶接も難しい。そういう視点はユーザーには関係ないかもしれませんが・・・。それだけでも5倍以上の原価差はあります。私はどうでもいいと思ってます。 結局、そんなどうでも良いことしか差別するところがない。
中身は他所さんと同じ部品です。
■設計思想の話に戻しますが、今一番、進んでるエスプレッソマシンの一つはは、ダラ・コルテでしょう。
multi-boilerと言われる最新モデルです。
WEGAの「My concept」の方が、機能もソフトウェアも数段優れてます。(2017年8月現在)
先日イタリアでその個別ボイラーを外して手にしましたが、全然外見からはサッパリ判りませんでした。
ただ、ここからが重要ですが、ダラ・コルテのホルダー系は少し小さい58=深いことも特徴です。
例えば、ダブルで15Gで抽出しても、シングル7gでは上手くいかないとよく聞きます。
このブレをダラ・コルテはシャワースクリーンの台座になっているベースプレート(正式名称は不明)シム化して、コーヒーとのスキマを変化させることが出来ます。
思えば当然なのですが、ここまでやってる人は少ないでしょう。
各ヘッドの抽出温度は変更も自在です。3ヘッドの電源ON・OFFも可能とか?
最初の省エネ・マシンです。
USBで繋げたグラインダーは自動で調整します。
或いは下記のSpeedstar
■で、皆さん、エスプレッソマシンの購入には、下記の点を考えれば良いわけです。か?
HX、単体か、ダブルボイラーか?
ボイラーの材質(銅・ステン)、容量、
ポンプのタイプ(vib / rotary)が重要ですね。
沢山のエスプレッソマシン会社がありますが、基本的に使ってる各制御部品は同じです。多くて数社です。
それが商業用か、家庭用かで耐久性や大きさが違います。
家庭用は筐体が小さい(部品も小型なわけです)という視点では、やはり耐久性は劣ります。
商業マシンは部品さえ交換してゆけば長~く使えます。
言い換えれば、エスプレッソマシンの修理は部品さえ入手出来れば簡単なのです。
ガスケット交換くらいは、自分で絶対に出来ますよ。本当です。
■そこで、日本市場の意見を眺めていると、自分のマシンを褒めてるだけで、全体を俯瞰して正当な評価をしてるバリスタさんは少ない。マシンが少ないので仕方ありませんね。
以上、マシンの入門の入門でした。
こんな判り易い説明はありません。
これ以上は各部品を入手して「しくみ」を解説しないと無理です。
各制御もそれぞれです。専門用語が出てきます。
一般に制御工学には、フードバック制御とプロセス制御がありますが、普通のエスプレッソマシンはプロセス制御、勿論 PID もその範疇にはいるかと思いますが、私、制御工学中退ですので、高等数学がもう全然ダメで理解不能です。
高温多湿条件下でも「タフ」なやつ、それがエスプレッソマシンだということです。
あとは「ヤカン」と同じです。オイオイ