IさんとJさんといっしょに奈良は春日山の原始林へいく。
首切り地蔵まで小1時間あるいて早めのお昼ごはん。たべおわるとすぐに団体(約30人)で登山するグループが到着した。
追い出されるように、わたしたちは奈良奥山ドライブウェイを若草山へ向かって歩きだす。
途中1回の休憩をとって約2時間で若草山に到着。天気予報のとおり午後から晴れてきて、山頂からの眺めは最高だ。
雲の切れ間から太陽の斜光線が奈良の町並みを照らし、神々しいほどに輝いている。
わたしは背中のリュックからコールマンのガスバーナーとペットボトルの水を取り出し、600ccの湯を沸かす。シナモンアップルスパイスのティーバッグを入れた紙コップに湯を注ぎ、待つこと3分。
眼下に絶景を見下ろしながら、できたてのハーブティーとIさんの持参したパウンドケーキを食し、しばしティータイム。ああ、若草山サイコー!
わたしはズミクロン50ミリF2を付けたライカM2とRX100の二刀流であったが、ライカのシャッターを切るごとに「光をゲット」したという感覚がカラダ中にみなぎり、たった1本(36カット)写しただけなのに妙な手応えを感じた。
長らく忘れていたが、写真を写すというのは正しくフィルムに「光を当てて取り込む」行為であった。
光のすくない状況下でもかんたんに写せるデジカメとはちがい、ISO100のフィルム(ネオパン100アクロス)に適正露光するためには、絞りを開けるかシャッタースピードを落とさねばならない。
もとよりM2には露出計もプログラムオートも付いていないから、あたまの中で相反則をぐるぐるしながら露出を決めるわけだ。
そんなことちょっと前まではあたりまえの写真行為だったが、デジカメやスマホに毒された人にはわからない話だろう。べつにいいけど。
帰りに「古書喫茶ちちろ」でコーヒーをのんで、まったりと奈良の余韻にひたる。
マスターにモーツァルトのバイオリンソナタをかけてもらう。