曽世さんご出演ということで,観に行ってきました。
堤泰之作・演出の三人芝居。
久保田秀敏さん,糸原舞さん,そして曽世さん。
去年3月に上演されて,今年が再演でしょうか。
キャストは一新されてます。
舞台はひなびた田舎の,古い家。
上手に母屋,下手に納屋を改築した居室。
真ん中に,庭。
季節は秋,庭のそここに葉が落ちています。
彫金家・見城海山の工房を資料館として改築,公開しよう,という企画のもと,
故・海山宅を訪れた設計事務所の従業員・佐久間(久保田秀敏)。
そこには海山の唯一の弟子・土門(曽世海司)が,
海山亡き後も,住み続けています。
海山の生前のエピソードを,土門から聞く佐久間。
そこへ,海山の娘を名乗る女性・和歌子(糸原舞)が現れ,
ここは自分の家だから,即刻出ていけ,と土門に言い放ちます。
土門の知る海山,和歌子が亡き母から聞かされていた,海山。
そして,無関係と思われた佐久間と海山の関係が明かされ…
そんなお話。
タイトルだけ見た時は,なんか難しそうな作品なのかな…
と思っていたのですが,パンフレットを見て,堤さんの作品なら
そんなことはないな,と。
実際に,ほっこりと心温まる作品でした。
海山の残した創作ノート兼日記を,土門が読み上げ
過去の回想シーンと現在とを行ったりきたりするのですが,
回想シーンのちょっとエロティックな照明がステキでした。
以下,ネタバレです。
交通事故で片足を切断した,海山の妻・十喜子は,
自分の介助をしていては,海山が創作に熱中できない,と
家を出て行ったのですが,海山は男と出て行った,と誤解をし,
そして,和歌子はヘンクツじじぃの束縛に耐えられなくなって出て行った,
と思い込んでいます。
最後にそれぞれの誤解が解けるのですが,
なぜ,和歌子はそう思うようになったのか・・・。
普通に考えて,母からそのように聞かされていたから,だと思うのですが,
だとすると,なぜ母はそのような嘘を娘についたのか。
私の想像力では,ちょっとピンときません。
そして,実は十喜子の右足を奪った,
事故の相手方ドライバーの息子だった,佐久間。
両親は離婚して,父とはずっと会っていませんでしたが,
佐久間の勤め先の社長が,実は父の友人で,
事故のことを気に病んでいる,病床の友人を慮って
佐久間を「記念館」という名目で海山宅へ行かせる,と。
従業員10人程度の小規模事務所のようですが,
経費で交通費&宿泊費を出し,数日従業員を遊ばせる余裕のある事務所か…
とか,下世話なことを考えてしまう私は,
心が汚れているのだと思います(爆)
百歩譲って有給だったとしても,交通費と宿泊費までは・・・
(しつこいw)
ちょっと「甘いな」と思う部分もあるにはあるのと,
煙いのがちょっとイヤでしたが(和歌子が3回,煙草を吸います),
全体的にはとても見やすい,ほっこりする作品に仕上がっていました。
渋いしみったれたおじさん役の曽世さんも良かったです
ところで,タイトルの「トリスケリオン」は「三脚巴」とも呼ばれる文様で,
今ですと,いだてんのタイトルバックに使われていますね。
3本の脚が風車のように一つになっている文様。
「マン島やシチリアで使われている」とセリフに出てきて
「シチリア?!」と。
今月シチリアに行くので,ナイスタイミングです。
トリスケリオン,探してこようと思います(*゚▽゚)ノ