公開中,とても気になっていたのですが,
結局見逃してしまっていた「ミッドナイトスワン」。
映画はいつもこのパターンです(^^;
アカデミー賞の最優秀作品賞と最優秀主演男優賞を受賞したと聞き,
今ならどこか近場で上演してるんじゃ…と探すと
渋谷でやっていたので,行ってきました。
アップリンク渋谷は初めて行くのですが,
セクハラだかパワハラだかでニュースになっていたなぁ…などと(^^;
かなり小ぢんまりした劇場で,
そうか,これがミニシアターというやつか,と。
でも椅子はふかふかで,背もたれの頭の高さもちょうど良くて
とても快適でした。
(最後列は仮設の椅子です)
ストーリーはあちこちで紹介されているので割愛するとして,
一言で言うと,とても哀しく美しい作品でした。
「あー面白かった」で終わらない,
なんか心に棘が刺さったような感じ。
草なぎ君演じる凪沙はキレイなだけじゃなくて,
痛ましい姿もさらしていて,まさしく体当たりの熱演。
これが初仕事という服部樹咲さん演じる一果は,
セリフが少なく,表情で伝える場面が多いのですが,
雰囲気があって,とても魅力的でした。
バレエの技術も高く,スラリとした手足が印象的。
一果の母がゲスすぎて,最初水川あさみさんと気付きませんでしたw
息子の性自認を受け入れられず号泣する母,
バケモノ呼ばわりする一果の母(凪沙の従兄弟)に対して,
真飛聖さん演じるバレエスクールの講師が,
佇まいも美しく,また,凪沙に対して特別な反応をすることなく
フラットに受け入れていて,
救いを感じる存在になっていました。
年頃の娘を,東京で独り暮らしする30代独身男性に預ける?とか,
一果の友達のりんが飛び降りたことに,その後全く触れられない,とか
あんなゲスな母が,そう簡単に変わるだろうか?とか
気になるところもあるといえばありましたが,
しばらく考えてしまったのが,お金のこと。
性適合手術を受けるため,凪沙は地道に貯金をしているのですが,
一果にバレエを続けさせてあげたい,となった時,
その貯金には手を付けず,一般企業の面接を受けたり
慣れない倉庫作業をしたりするんですね。
目の前にお金あるのに…なぜだろう?と。
コンクールの最中,踊れなくなり,
舞台上で立ち尽くす一果に,母が駆け寄り,
そんな母に泣きながら抱き着く一果の姿を見て,
凪沙は会場を出て行く場面。
私なら,「やっぱり何だかんだいって,産みの母だもんねぇ」
で終わるのですが,凪沙からすると
体が女じゃないから母になれない,と思ったのかな,と。
なので,まず体から女になる,というのが絶対譲れないところで,
そのためのお金には絶対手を付けない…
付けられなかったんでしょうか。。。
色んな意味で,心に残る作品でした。