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元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「28日後...」

2010-11-02 06:39:58 | 映画の感想(英数)
 (原題:28 Days Later )2002年作品。ウイルスによって人類のほとんどがゾンビ化した世界を舞台に、主人公(キリアン・マーフィ)と生き残りったわずかな人間たちによるサバイバル劇が展開する。

 秀作「スラムドッグ$ミリオネア」より前のダニー・ボイル監督の作品に感心したことは一度もない。「トレインスポッティング」にしろ「ザ・ビーチ」にしろ、極めて薄っぺらな描写だけで“人間なんて、所詮こんなものだ”と一人達観し、同時にそれのアンチテーゼとして“希望を持った人物像”をこれまたイージーに差し出すのみ。この作家の頭の中には“低レベルの人間洞察による二者択一”しか存在しないのであろう。

 ただし、デビュー当時から映像感覚だけは独特のものがあるのは認める。だが、このホラー編ではゾンビ化ウィルスにより荒廃したロンドンの風景や荒々しいカッティングといった見せ場が、デジカム使用の薄汚れた画像によって全て台無しになっており、特に暗い場面での色の潰れは無惨の極みである。自己の唯一の長所を放棄するとは、一体何を考えているのだろう。

 作劇の低調さはいつもの通り。わずか28日で政府もマスコミも消滅させてしまい、それを登場人物の誰もが疑問に思わないというバカバカしい設定の中を、ステレオタイプで頭の悪そうなキャラクター達がウロウロするだけの映画だ。参考にしたというジョージ・A・ロメロの「ゾンビ」シリーズの足元にも及ばない。

 しかも、一通り映画が終わった後、周囲からの要望により一端ボツにした別の結末をエンドクレジットの後にくっつけるという無様なマネを容認したのだから呆れてしまう。いずれにしても、この頃のボイル作品は観る価値はない。
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