元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「ザ・ドロッパーズ」

2019-08-16 06:33:06 | 映画の感想(さ行)
 (原題:Fast Break)79年作品。やっぱり、ダメ人間が奮起して大舞台で活躍するというパターンは、いくら見せられても見飽きないものだ。スポーツ映画は「ノースダラス40」や「タッチダウン」のような捻った作品よりも、こういうオーソドックスで前向きな映画の方が一般的には訴求力が高い。

 ニューヨークのレストランに勤務しているデイヴィッドは、バスケットボールが三度の飯より好きなオタク野郎だ。いつか自分の手でチームを率いて一旗揚げたいと思っていて、そのため嫁さんからも愛想を尽かされつつある。何とかコーチの座を得ようと全米の大学に手紙を出していたが、ある日ネヴァダ州のカドワラダー大とかいう名も知らない大学から返事が来た。学長のアルトンは成り行きでこのポストに就いたのだが、安上がりで手っ取り早く学校の名を知らしめるため、バスケット部を立ち上げたいらしい。

 デイヴィッドは何とか訳ありのメンバーを4人集めてネヴァダに向かうが、学校の設備のショボさに愕然とする。それでも素質のありそうな学生をスカウトするが、どいつもこいつも救いようのない落ちこぼればかり。どうにかしてモチベーションを上げたいデイヴィッドは、メンバーの一人で撞球の名人ハスラーと一緒に名門ネヴァダ大学のコーチを罠に掛けて、無理矢理に対抗戦を組ませることに成功。試合に向けて、カドワラダー大チームの奮闘が始まる。

 展開はまさにスポ根ものの王道路線で、しかも演技しているのはほとんどがプロのバスケット選手だ。そして終盤には、この手の映画に付き物のアクロバティックな驚異的プレイもちゃんと用意されている。また、苦肉の策で女子学生を男性に見立てて送り込んだのは良いが、メンバーの一人が彼女に恋心を抱いて“オレはゲイか”と悩んだり、読み書きもできない野郎に何とかして追試をやってもらうことにしたりと、ギャグが映えるネタも挿入されている。

 ジャック・スマイトの演出はケレン味のないスマートなもので、小粒ながらニヤリとさせられる。主演のガブリエル・カプランをはじめハロルド・シルヴェスターやマイケル・ウォーレン、バーナード・キングといった面々はあまり馴染みが無いが、それぞれ味がある。鮮やかな幕切れを含めて、鑑賞後の印象は良好だ。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする