元・副会長のCinema Days

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「ウォレスとグルミット 仕返しなんてコワくない!」

2025-02-23 06:26:16 | 映画の感想(あ行)
 (原題:WALLACE AND GROMIT: VENGEANCE MOST FOWL )2025年1月よりNetflixから配信。おなじみイギリス発の人気アニメーションシリーズの新作だが、長編映画としては2005年製作の「ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!」以来2作目なのだという。ここ20年ばかりコンスタントに作品が発表されていたと思っていたが、あれは大半が短編だったのだ。満を持して発表された本作だが、期待を裏切らないクォリティの高さを見せつけてくれる。ネット配信だけでなく劇場公開を望みたい。

 たちの悪い大泥棒ペンギンのフェザーズ・マッグロウは、とぼけた発明家のウォレスとしっかり者の忠犬グルミットの働きによって逮捕され、動物園にて“終身刑”に処されていた。その頃ウォレスは、新たな発明品であるお手伝いロボットのノーボットを開発。これを隣近所に貸し出して、大々的にビジネスを展開しようというのだ。ところがマッグロウは巧妙な手口によって、拘留中にノーボットの頭脳に不正アクセスする。勝手に大量生産させた“悪党モード”のノーボットの助けを得て、堂々と動物園から脱走。展示会に出品予定の大型ダイヤの強奪を画策する。



 本作の“前作”に当たる短編「ペンギンに気をつけろ!」(92年)は観ていないが、チェックしていなくても十分楽しめる。こういう活劇物は敵役の存在感が出来映えに大きく影響するが、ここでのマッグロウと魔改造されたノーボットは、十分すぎるほどのインパクトを与える。とにかく無表情でコワいのだ。そして行動がまったく読めない。こんなキャラクターを創造できた時点で、本作の成功は約束されたものだろう。

 相変わらずウォレス及び警官署長は頼りにならないが、その分グルミットが八面六臂の大活躍を見せる。思いがけず一大犯罪組織を率いることになったマッグロウに果敢に立ち向かい、幾度か絶体絶命のピンチに陥りながらも、不屈の闘志で撥ね除ける。犬好きの観客ならば堪えられないだろう。

 ニック・パークとマーリン・クロシンガムの演出は見事で、次から次と繰り出される効果的なギャグとアッと驚くアクションシーンの数々には圧倒される。特にクライマックスの汽船同士のチェイス場面は、卓越したアイデアが横溢して感動するしかない。それにしても、これだけの映像を(フルCGではなく)ストップモーション・アニメーションによって作り上げたスタッフの努力には、本当に頭が下がる。続編も暗示させるようなエンディングなので、今後の展開に期待したい。
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