元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

AIR TIGHTのアンプを試聴した。

2012-08-13 08:24:22 | プア・オーディオへの招待
 市内某ショップにてAIR TIGHT(エアータイト)のアンプを試聴することが出来た。AIR TIGHTは国内の高級アンプメーカーとして知られるLUXMANに在籍していたエンジニアが、86年に設立したエイ・アンド・エム社のブランドだ。ラインナップはすべて真空管式であり、トランジスタ式アンプを凌駕する性能が確保されているという。

 デモされていたのはプリアンプのATE-2001とメインアンプのATM-3011のセットで、価格は合わせて約420万円。スピーカーはJBLのDD66000、そしてアナログプレーヤーに独TRANSROTOR社のAPOLLON TMDという、総額1,200万円以上となるシステムでの試聴である。



 気鋭の国内ガレージメーカーの製品なので大いに期待していたのだが、なぜか出てきた音は精彩を欠いていた。当然のことながらアナログレコード中心の試聴であり、メーカー担当者が厳選したというディスクを次々とターンテーブルに載せるものの、聴感上のレンジ(帯域)はどれも狭く、中高域なんか音が痩せて聴き辛い。音場もほとんど広がらず、音像はボヤけていて、情報量も低調だ。これではとても評価できない。

 ところが、試聴会の終盤になって演奏された一枚のレコードの音に完全に目が覚めた。今までの展開とは打って変わった広大なレンジと明確な音像定位が現出。聴き終わって思わず拍手したくなるほどのヴォルテージの高さだった。さらにESOTERICのCDプレーヤーに繋ぎ替えてのCD演奏は、前半の聴くに堪えない音とはまったく異なるハイファイ調で、思わず引き込まれる。

 結局、当初“音が悪い”と感じたのは、機器の性能が低いためではなく、再生する音楽ソースの質が良くなかったからなのだ。メーカー担当者が得意気に“このディスクは貴重品で大枚叩いて手入れた”と紹介するレコードの数々は、演奏自体は希少価値があるのかもしれないが、音質面では語る価値も無い。



 いくら金を払って入手したのか知らないが、そんな音の悪いレア盤を持ってくるよりも、普通に誰でも手に入れられる“音質の良いレコード”を最初から粛々と演奏した方が、よっぽどデモンストレーション効果は高かったはずだ。自分の趣味に走るのは勝手だが、一般リスナーを前にしての音出しに当たってはもう少しソフト選定を考えて欲しかった。

 さて、普通に音の良いディスクを演奏した際のAIR TIGHT製品のパフォーマンスだが、これはかなりのものだと感じた。真空管アンプらしくない・・・・と言ったら語弊があるが、とにかくハイスピードでDD66000を朗々と鳴らす駆動力がある。それでいて中高域にほのかな艶が乗り、音色自体は明るく闊達だ。海外製のハイエンド型アンプと五分に渡り合える実力があると思った。

 デザイン面でも国産機では珍しく垢抜けている。所有欲をかき立てるエクステリアだ。高価格であり、一般ピープルが手を出せる製品では決して無いが、国内にはこういう頑張っているメーカーあるということを知ることが出来ただけでも有意義だった。

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