(原題:Simone)2002年アメリカ作品。才能があるのに売れず、主演女優にも逃げられた映画監督が、苦肉の策で出演させたCGヴァーチャル女優が大人気を博してしまうというコメディ。突っ込みどころは多々あるものの、なかなか気の利いた作品で楽しめた。
何より「CG俳優が人間を超えるという、未来を予見したハードSF」みたいな大上段に振りかぶらず、話をスノッブな監督の空威張りや、別れたカミさん(プロデューサー)との下世話な関係に集中させているのが楽しい。ヴィクター・タランスキーなる役名も意味深なら、彼が作家性と娯楽性の間で悩み、我が侭なキャストに振り回されながら、100%自分の自由になる俳優を希求するという設定は、監督の個性が中途半端に前面に出て失敗しているハリウッド作品に何度も遭遇している我々観客にとっても“良くわかる話”である。そんなプライドと小心ぶりが表裏一体になった演出家をアル・パチーノが余裕たっぷりに演じている。
監督アンドリュー・ニコルの出世作「ガタカ」は未見だが、無機質な映像タッチとシチュエーション・コメディとを絶妙の配分で両立させているあたりは感心した。ヴァーチャル女優を演じるレイチェル・ロバーツ(監督夫人らしい)のノーブルな魅力も光る。
なお、一部で言われている「いずれ普通の人間の俳優もCGに置き換えることが可能になる」との意見は、今のところ実感はない。「ファイナルファンタジー」なんかを観てもわかるが、実物に近づけようとすればするほど、些細な違いが大きく目立ってしまうものなのだ。
何より「CG俳優が人間を超えるという、未来を予見したハードSF」みたいな大上段に振りかぶらず、話をスノッブな監督の空威張りや、別れたカミさん(プロデューサー)との下世話な関係に集中させているのが楽しい。ヴィクター・タランスキーなる役名も意味深なら、彼が作家性と娯楽性の間で悩み、我が侭なキャストに振り回されながら、100%自分の自由になる俳優を希求するという設定は、監督の個性が中途半端に前面に出て失敗しているハリウッド作品に何度も遭遇している我々観客にとっても“良くわかる話”である。そんなプライドと小心ぶりが表裏一体になった演出家をアル・パチーノが余裕たっぷりに演じている。
監督アンドリュー・ニコルの出世作「ガタカ」は未見だが、無機質な映像タッチとシチュエーション・コメディとを絶妙の配分で両立させているあたりは感心した。ヴァーチャル女優を演じるレイチェル・ロバーツ(監督夫人らしい)のノーブルな魅力も光る。
なお、一部で言われている「いずれ普通の人間の俳優もCGに置き換えることが可能になる」との意見は、今のところ実感はない。「ファイナルファンタジー」なんかを観てもわかるが、実物に近づけようとすればするほど、些細な違いが大きく目立ってしまうものなのだ。



