元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

「男と女の不都合な真実」

2009-10-07 06:29:30 | 映画の感想(あ行)

 (原題:The Ugly Truth)最近観た映画の中では一番笑える。筋書き自体は使い古されたものだが、ネタの振り方やギャグの扱いが実によく考えられており、何よりキャラクター設定に伴う俳優の動かし方が絶妙だ。退屈なくすぐりに終始しがちなハリウッド製ラブコメの中にあっては、なかなかの存在感を持つ作品である。

 サクラメントのローカルTV局でプロデューサーを務めるヒロインは、仕事は出来るものの、救いようがないほどの恋愛下手。地道に婚活に励んではいるが、今日も冴えない野郎と“お見合い”をするハメになり、思いっきり落ち込んで帰宅したところにテレビ画面で目にしたのは、男の本音を剥き出しにするとの触れ込みで好き勝手な暴言を吐く傍若無人なコメンテーター。大いに気分を害した彼女だが、翌日その彼が彼女の番組の新パーソナリティとして採用されているのを知って愕然とする。

 反発し合う二人だが、やがて互いを憎からず思うようになってハッピーエンドになるんだろうなあ・・・・と思っていると、見事にその通りになる(笑)。彼女の側にもう一人イイ男が言い寄ってくるってのも定石通りで、大昔からさんざん作られてきたスクリューボール・コメディのルーティンを愚直なまでに守っている。ただし、繰り出されるお笑いの数々はこれ以上ないと思われるほどに下品だ(爆)。

 徹底した下ネタのオンパレードで、放送禁止用語もてんこ盛り。ハダカが出てこないのにR-15指定になったのも頷けるが、下卑た笑いのわりには繰り出し方や見せ方に関して細心の注意が払われており、弛緩した部分がない。内容とは裏腹に、監督のロバート・ルケティックの演出スタイルはけっこうスマートである。

 主役を演じるキャサリン・ハイグルとジェラルド・バトラーは絶好調。ハイグルは今のアメリカ人の女優では最も美人の部類に入る。容姿がキレイであるばかりでなく、品が良い。だからこそ、お下劣なネタをこなしても決して汚らしくはならない(これが、品のない女優がやると目も当てられない結果になっただろう)。バトラーも、粗野でガラッパチな野郎を実に楽しそうに演じている。最後にしおらしい様子を見せるのも効果的だった。

 難を言えば、ヒロインが夢中になる男に扮するエリック・ウィンターにもうちょっと存在感が欲しかった。悪くはないのだが、単なる人当たりの良い二枚目という域を出ていない。強い個性を付与してバトラーと張り合うようなシークエンスを設けたならば、さらに盛り上がっただろう。

 とはいえ、劇場内は絶えず笑いに包まれ、観賞後の満足感は相当なものだ。カリフォルニアの陽光に照らされたような、明るく澄んだ色調をメインとする映像も要チェックである。
コメント (1)
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