元・副会長のCinema Days

映画の感想文を中心に、好き勝手なことを語っていきます。

シネテリエ天神が閉館。

2009-10-15 06:33:12 | 映画周辺のネタ

 去る10月12日付をもって福岡市中央区天神にあるミニシアター「シネテリエ天神」が閉館した。この劇場は80年代半ばに「東映ホール」としてオープン。当初は東映系作品の二番館としての位置付けだったが、突然やり始めた“寺山修司特集”からミニシアター路線に突入。劇場名を「てあとるTENJIN」に変更して単館系の作品を上映するようになる。後に「シネテリエ天神」と名を改め、それらしい内装を整えた封切館として福岡の映画ファンにはお馴染みになる。

 今回の閉館は、赤字部門を整理するという運営会社の都合らしい。同時に、公開できる作品が少なくなってきたことも背景にあるだろう。昨今隆盛を極めるシネマ・コンプレックスにとって、単館系の劇場の存在はあまり面白くない。シネコンの配給側への対応により、本来ミニシアターで公開されるのがふさわしいような作品まで押さえてしまうという話を聞いた。

 福岡市にはあと2つミニシアターが存在するが、KBCシネマは地元放送局がバックアップしており、シネ・リーブル博多駅は日活が運営している。対してシネテリエの経営元は中堅の興行会社でしかなく、基盤が強固ではない。少しでも逆境に立たされると撤退を余儀なくされるのは仕方がないのかもしれない。

 だが、正直シネテリエはあまり鑑賞環境の良い小屋ではなかった。狭い客席に小さいスクリーン。空調の音も必要以上に響く。特に地下に続く急勾配の階段はバリアフリーもへったくれもない。同じく天神地区にあって、東宝系の作品を上映していたソラリアシネマが独自に番組をチョイスするようになり、ミニシアター作品もカバーするようになった現在、シネテリエの退場はさほど感慨深くもない。少なくとも、10数年前にKBCシネマの前身であったKBCシネマ北天神がなくなった時ほどには名残惜しくはない。

 なお、10月16日にはシネテリエ天神の跡地に「天神シネマ」が開館する。なんと成人映画専門館だという。数年前に中洲地区のオークラ劇場が小屋をたたんでから福岡市には成人映画をフィルム上映する劇場は存在しなかったのだが、ここにきてまさかのカムバックだ。滝田洋二郎監督の特集など、オープニングの作品から注目映画が並んでいる。まあ、映画ファンとしては嬉しいのだが、全国的に成人映画の需要が減少している今、どこまで続けられるか心配である。今後の成り行きに注目したい。
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