猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

鰐ーワニー

2016-12-02 18:53:04 | 日記
1996年の韓国映画「鰐ーワニー」。
漢江に架かる橋の下で暮らす浮浪者ヨンぺ(チョ・ジェヒョン)。"ワニ"と呼ばれる彼は、川に
投身自殺した人の遺品を巻き上げて生活する極悪非道な男。ある日、川に身を投げたヒョン
ジョンを助けたヨンぺは彼女を強姦し、欲望のはけ口として弄ぶようになる。それでも彼女は
ヨンぺと暮らす老人や少年と暮らすようになり、ヨンぺも次第に彼女に優しく接するようになっ
ていく。

キム・ギドクの初監督作品である。低予算で作られたらしいが、第1作目からしっかりとキム・
ギドクの味が出ている。俳優たちも子役を含めて皆うまい。特にヨンぺ役のチョ・ジェヒョンは
恐らく教育も満足に受けていないであろう粗暴な男が、自殺を図った女と出会ったことから
優しく人間らしくなっていく様子をとても繊細に演じている。
といってもヨンぺは初めは自分が助けたヒョンジョンが若い女だったため、老人が制止する
のも聞かずに乱暴するのだが。この女もそんなことをされてどうして橋の下を離れようとしな
いのか、少し不思議だった。恋人だと思っていた男に裏切られて悲しいのはわかるけど、死
ぬ程のこと?と思った。家に帰ればいいのに。ヒョンジョンの行動は理解に苦しむ。
それでもヒョンジョンは老人や少年と一緒に橋の下にい続ける。彼らに暴力を振るったりして
いたヨンぺも、気持ちに変化が生じてくるのだ。
キム・ギドク監督の映画は「嘆きのピエタ」が無茶苦茶おもしろくて(それでもあまりにも重た
いのでもう1度観たいとは思わないが)、「殺されたミンジュ」はちょっとやりすぎな感があった
が、この映画は原点なのだろうなあ、と思った。ラストシーンは美しく、哀しい。



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コメント (2)
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