1960年のイタリア・フランス合作映画「若者のすべて」を観にいった。
1955年のある晩、ロッコ(アラン・ドロン)とその兄弟は、母親ロザリア(カティナ・
パクシノウ)と共にミラノ駅についた。父親を失った一家は故郷ルカーニアから、ミラ
ノで働いている長男ヴィンチェンツォ(スピロス・フォカス)を訪ねてきたのだ。彼に
は美しいジネッタ(クラウディア・カルディナーレ)という婚約者がいた。翌日から家
と職探しに奔走する一家。かつてヴィンチェンツォはプロ・ボクサーを目指していて、
次男シモーネ(レナート・サルヴァトーリ)と三男ロッコもクラブに通うようになる。シ
モーネは貧困と不遇のうっぷんをボクシングに賭けた。元チャンピオンのモリーニ(ロ
ジェ・アナン)はシモーネに目をつけたが、シモーネはナディア(アニー・ジラルド)と
いう女に溺れ、身を持ち崩していく。素質はあるが気立ての優しいロッコは、ボクサー
を嫌ってクリーニング店で働いた。だがシモーネが店の主人のブローチを盗んだため、
店を辞めることになった。そこへロッコに徴兵の通知が届く。
ルキノ・ヴィスコンティ特集をやっているので観にいった。この「若者のすべて」は
未見だったのでちょうど良かった。179分だが退屈することなく観られて、おもしろ
かった(この人の映画は大体長いようだ)。母親と5人の息子たち、そしてその妻や恋人
の、家族の物語である。イタリアでは母親が強いとか、身内のつながりを大事にする
とか聞くが、この映画でもそれらをしみじみ感じた。
父親が亡くなり、南部の貧しい村から希望を抱いて北部ミラノへ出てきた家族5人。
ミラノで暮らす長男を頼ろうと思っていたのだが、長男はもうすぐ結婚するという。
あてが外れた5人は、まず家を探さなければならなくなった。イタリアの経済事情は
知らないが、南部は貧しいんだな、ということはわかった。ただこれは1960年の映画
なので、今はわからないのだが。生活が落ち着いた頃、次男のシモーネは商売女のナ
ディアに夢中になり、ナディアを自宅に住まわせ、自堕落な生活を送るようになる。
母親は「皆真面目で優しい子たちだったのに」と嘆くが、こういうことってあるよな
あ、と思った。人生はちょっとしたことがきっかけで狂ってしまう。
兵役を終えて帰ってきたロッコは、刑務所から出てきたナディアに偶然会い、ナディ
アはロッコを好きになる。しかしロッコはシモーネのことを思って身を引く。その頃
シモーネは借金まで作っており、ロッコはシモーネのために気のすすまないボクサー
の契約をし、契約金を返済に充てるようシモーネに言う。仲の良かった家族は、シモ
ーネのために崩壊していく。ロッコの夢は生まれ故郷のルカーニアに帰ることだった
が、それが叶うのは末っ子のルーカ(上の4人は成人しているが、ルーカはまだ子供で
ある)だけだろう、と言ったのが印象的だった。不幸の連鎖にやりきれない気持ちに
なった。
アラン・ドロンはイタリア語が話せるのだろうか?もしかして吹き替え?彼の声では
ないような気もしたが、どうなんだろう。悲しい物語だったが、アラン・ドロンの若
い頃の映画を、スクリーンで観られたことは感激である。
良かったらこちらもどうぞ。ルキノ・ヴィスコンティ監督作品です。
ベニスに死す
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1955年のある晩、ロッコ(アラン・ドロン)とその兄弟は、母親ロザリア(カティナ・
パクシノウ)と共にミラノ駅についた。父親を失った一家は故郷ルカーニアから、ミラ
ノで働いている長男ヴィンチェンツォ(スピロス・フォカス)を訪ねてきたのだ。彼に
は美しいジネッタ(クラウディア・カルディナーレ)という婚約者がいた。翌日から家
と職探しに奔走する一家。かつてヴィンチェンツォはプロ・ボクサーを目指していて、
次男シモーネ(レナート・サルヴァトーリ)と三男ロッコもクラブに通うようになる。シ
モーネは貧困と不遇のうっぷんをボクシングに賭けた。元チャンピオンのモリーニ(ロ
ジェ・アナン)はシモーネに目をつけたが、シモーネはナディア(アニー・ジラルド)と
いう女に溺れ、身を持ち崩していく。素質はあるが気立ての優しいロッコは、ボクサー
を嫌ってクリーニング店で働いた。だがシモーネが店の主人のブローチを盗んだため、
店を辞めることになった。そこへロッコに徴兵の通知が届く。
ルキノ・ヴィスコンティ特集をやっているので観にいった。この「若者のすべて」は
未見だったのでちょうど良かった。179分だが退屈することなく観られて、おもしろ
かった(この人の映画は大体長いようだ)。母親と5人の息子たち、そしてその妻や恋人
の、家族の物語である。イタリアでは母親が強いとか、身内のつながりを大事にする
とか聞くが、この映画でもそれらをしみじみ感じた。
父親が亡くなり、南部の貧しい村から希望を抱いて北部ミラノへ出てきた家族5人。
ミラノで暮らす長男を頼ろうと思っていたのだが、長男はもうすぐ結婚するという。
あてが外れた5人は、まず家を探さなければならなくなった。イタリアの経済事情は
知らないが、南部は貧しいんだな、ということはわかった。ただこれは1960年の映画
なので、今はわからないのだが。生活が落ち着いた頃、次男のシモーネは商売女のナ
ディアに夢中になり、ナディアを自宅に住まわせ、自堕落な生活を送るようになる。
母親は「皆真面目で優しい子たちだったのに」と嘆くが、こういうことってあるよな
あ、と思った。人生はちょっとしたことがきっかけで狂ってしまう。
兵役を終えて帰ってきたロッコは、刑務所から出てきたナディアに偶然会い、ナディ
アはロッコを好きになる。しかしロッコはシモーネのことを思って身を引く。その頃
シモーネは借金まで作っており、ロッコはシモーネのために気のすすまないボクサー
の契約をし、契約金を返済に充てるようシモーネに言う。仲の良かった家族は、シモ
ーネのために崩壊していく。ロッコの夢は生まれ故郷のルカーニアに帰ることだった
が、それが叶うのは末っ子のルーカ(上の4人は成人しているが、ルーカはまだ子供で
ある)だけだろう、と言ったのが印象的だった。不幸の連鎖にやりきれない気持ちに
なった。
アラン・ドロンはイタリア語が話せるのだろうか?もしかして吹き替え?彼の声では
ないような気もしたが、どうなんだろう。悲しい物語だったが、アラン・ドロンの若
い頃の映画を、スクリーンで観られたことは感激である。
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