猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

手紙は憶えている

2019-02-11 21:46:46 | 日記
2015年のカナダ・ドイツ合作映画「手紙は憶えている」。

ゼヴ(クリストファー・プラマー)は今年90歳で、ニューヨークの介護施設で暮らして
いる。最近は認知症が進行し、最愛の妻・ルースが死んだことさえ忘れてしまうよう
になっていた。ある日、ゼヴは施設の友人のマックス(マーティン・ランドー)から1
通の手紙を託される。2人はアウシュビッツ収容所からの生還者で、ナチスに家族を
殺されていた。その手紙には2人の家族を殺したナチスの兵士に関する情報が記され
ていた。その兵士の名はオットー・ヴァリッシュといい、現在はルディ・コランダー
という偽名を使って暮らしているという。コランダーと名乗る人物は4人にまで絞り
込まれていた。体が不自由なマックスに代わりゼヴは復讐を決意、1通の手紙とかす
かな記憶だけを頼りに、単身オットー・ヴァリッシュを捜しに旅に出る。

ホロコーストを題材にしたアトム・エゴヤン監督のサスペンス映画。介護施設で暮ら
しているゼヴと友人のマックスはアウシュビッツからの生還者で、お互い家族をナチ
スに殺されていた。マックスは家族を殺したオットー・ヴァリッシュという兵士が現
在はルディ・コランダーという偽名で暮らしていることを知り、その名前の人物を4
人調べ上げていた。マックスは体が不自由な自分の代わりにゼヴにオットー・ヴァリ
ッシュを見つけて復讐してきて欲しい、と頼む。ゼヴは施設を抜け出し、手紙に書か
れている4人の住所を訪ねる旅に出る。
おもしろかった。ゼヴは認知症のため、何でもすぐに忘れてしまう。マックスから預
かった手紙には、「君は認知症で、君の奥さんは亡くなっている」ということも書か
れていた。ゼヴは手に「手紙を読む」と書く。ルディ・コランダーを1人ずつ訪ね、
人違いであるとわかればマックスに電話で報告する。その過程がとてもスリリングで
目が離せない。そして衝撃的なラスト。私は本当に驚いた。
とても重たい映画である。ゼヴ役のクリストファー・プラマーの演技がすごい。重厚
で鬼気迫る演技は本当に素晴らしい。ルデイ・コランダーの1人は死んでいたが、そ
の人物と息子もまたナチスの信奉者で、息子に脅されるシーンはドキドキした。「親
父が生きていたら、ユダヤ野郎を家に入れたって怒るだろうな」などと言うので怖か
った。今でもこういうことを言う人がいるんだなあ、とユダヤ人差別の根深さを改め
て感じた。欧米ではホロコースト関連の映画は1つのジャンルとして確立しているよ
うに思う。それだけ忘れてはいけない、繰り返してはいけない歴史なのだ。ホロコー
ストはまだ終わっていない、と感じた。




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