猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ぼくを葬(おく)る

2020-04-25 22:55:31 | 日記
2005年のフランス映画「ぼくを葬(おく)る」。

31歳の売れっ子カメラマンのロマン(メルヴィル・プポー)は、ある日仕事中に倒れ、
病院に搬送される。ゲイである彼は医師に「エイズではないか」と尋ねるが、エイ
ズではなく、癌で余命3ヵ月だと宣告されてしまう。ロマンはそのことを関係がう
まくいっていない両親と姉には言わずに、心を許している祖母(ジャンヌ・モロー)
にだけ打ち明けることを決める。そしてロマンは自らの運命を受け入れ、死と向き
合っていく。

フランソワ・オゾン監督作品。31歳のカメラマンのロマンは、ある日突然癌があち
こちに転移していて手の施しようがなく、余命3ヵ月だと診断されてしまう。ショ
ックを受けるロマンだが、やがて彼は運命を受け入れ、少しずつ死に向かっての準
備を始めていく。休暇を取り仕事を休むことにした彼は、同棲中の男性の恋人と別
れ、家族に会いに行く。だが家族とうまくいっていない彼は病気のことは言わずに、
ただ1人心を許している祖母にだけ打ち明けることにする。
静かに進行していく物語だ。ロマンは絶望に打ちひしがれることもなく、泣き叫ぶ
こともなく、淡々と運命を受け入れていく。まだ31歳…自分だったら、と考えてし
まう。ロマンのように残りの時間を生きていけるだろうか。ロマンは行きつけのカ
フェでウェイトレスに突拍子のない頼み事をされるのだが、考え抜いた挙げ句それ
も承知する。そしてそのことでロマンがとった行動は感動的だ。
私はロマンが祖母に会いに行くシーンがとても好きだ。自由奔放に生きてきた祖母
だが、ロマンは「僕とおばあちゃんは似ている」と言う。祖母が「どうして?」と
聞くと、ロマンは「もうすぐ死ぬから」と答えるのである。祖母は微笑む。祖母役
のジャンヌ・モローの登場シーンは少しだけなのだが、さすがに存在感がすごい。
ロマンは祖母の家に1泊しただけだが、そのエピソードが1番印象に残った。
ラストシーンもいい。キラキラ光る静かな海、波の音。寄せては返す波がロマンの
心を表しているようだった。いい映画だった。


良かったらこちらもどうぞ。フランソワ・オゾン監督作品です。
海をみる




映画評論・レビューランキング

人気ブログランキング