猫のひたい

杏子の映画日記
☆基本ネタバレはしません☆

ザ・ボート

2022-09-21 21:24:45 | 日記
2018年のマルタ映画「ザ・ボート」。

いつものように島から舟に乗り込み、海へと漁に出た男(ジョー・アゾパルディ)
は、突然分厚い霧の中に飲み込まれる。そして自分の立ち位置がわからなくなっ
てしまった上に舟の故障で立ち往生する。そんな時放棄されたボートに出くわす。
放棄された船舶を湾管理局に通報するために、そのボート(船)に乗り込み操縦を
しようとしたその時、まるでボート(船)は意志を持ったかのように動き出し、男
を船内に閉じ込めてしまう。

珍しいマルタ共和国のホラー映画。マルタってどこ?と調べてしまった。登場人
物は漁師の男(名前は出てこない)1人だけで、ジョー・アゾパルディの1人芝居で
ある。これが意外におもしろかった。男はいつものように小舟で漁に出るが、間
もなく霧に包まれ立ち往生してしまう。すると放棄された船を見つける。男は船
に向かって何度も声をかけるが、返事はない。男は船によじ登って入るのだが、
どうして入るかなあと思った。危険な人物が潜んでいるかもしれないのに。
船の中を調べるが人はいないようだ。だが着替えや食料品などがあり、まるでつ
いさっきまで乗組員がいたような様子だ。違和感を覚えながら男は無線で助けを
呼ぶが、通じない。男は気味悪さを感じながらトイレに入るが、トイレのドアが
勝手に閉まってしまい、どんなにノブを回しても開かない。男はトイレに閉じ込
められてしまったのだ。男は必死でドアを開けて出ようとするが、開かない。長
い時間が過ぎていく。夜が明け、男はまたトイレの中で奮闘し、やっとドアが外
れて出ることができる。
登場人物が1人なのでセリフもほとんどない。けれども男の表情や行動によって
恐怖は充分に伝わってくる。熱演である。男はやがて血痕を見つける。そして別
の部屋に入った時、またドアが勝手に閉まって閉じ込められてしまうのだ。男は
「またかよ」と言って必死にドアを開けようとする。この船は幽霊船なのだろう
か。観ていてもよくわからない。今どこにいるのか男にもわからない。とにかく
「船が意志を持っている」というのがとても怖い。いかにも低予算映画という感
じだが、不気味だし、時間も88分と短めでこの物語には合っており、なかなかの
掘り出し物だった。




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コメント (8)
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