東京国立博物館(平成館)で開催されている「仏像・一木に込められた祈り」展を鑑賞しました。日本全国の神社や寺の、一本の木から彫り出された仏像だけを集めた特別展です。
館内は、大勢の見学者でごったがえし、時にぶつかりながらの拝観でした。
一番印象に残ったのは、滋賀県・向源寺の国宝・十一面観音菩薩立像です。
頭の上には顔・顔・顔。後ろに回って見たら後頭部に大きな口を開けて笑っている顔があり驚きました。しかし、本面の観音様は、穏やかな表情でかすかな笑みを浮かべ静かに佇んでいる姿が美しく魅了されました。
このお像は、今回の展示まで千年以上、一度も近江の地を離れたことがなく、門外不出の仏像だったそうです。
それが、今回の展示に当たり企画を担当した某氏が4度、寺に通ってやっと寺外初公開にこぎつけた、という新聞の記事を読み更に感銘を受けました。
日本は昔から木を神のよりしろとして信仰してきたそうですが、心の荒廃が叫ばれている今だからこそ、この様な古来日本の精神文化をじっくりと味わい、自分自身を見つめ直す機会でもあるのかな~と感じた一日でした。
仏像の写真は、ポスターから写しました。左側が向源寺の「国宝・十一面観音菩薩立像」です。右側は菩薩半か像(伝如意輪観音)です。座っているお像ですが専門的なことは分かりません。