壬の回(#9)
『冥王降臨』
「子供が大人の決定に口を出すな。」
「カッチ~ン!」
指を鳴らす一(ニノマエ)。
「お前らに警告する。ってか、あんたしかいないけどね。」
男が周りを見ると他の席は全部ダルマに!!
そして男の顔には赤い切り取り線が・・・
「お前の顔の切り取り線。
今度はその線に沿って、頭部を切る。
二度と僕に逆らうなと全レベルに伝えろ!!」
お取り潰しになったミショウで野々村が震えていた。
そこへ当麻が照明を持ってやって来る。
ストーブも持ち込み、電気を引っ張って来て暖まる。
おまけにたこ焼き鍋をしてブレーカーが落ちてしまい・・・
一課の3人に怒鳴り込まれる。
何故まだ居座り続けているのかと言われ、
瀬文を待っていると野々村。
瀬文は銃を持ち出したまま行方不明になっていた。
その頃、瀬文は志村の遺影に線香をあげ手を合わせていた。
志村が死んで人の心を読み取る能力も消えたらしい。
これからは自分の人生を生きて行くと美鈴。
「だから、瀬文さんも兄に拘らず、
自分の人生をきちんと生きて下さい。
兄もそれを望んでいると思います。」
瀬文が土下座をし帰ろうとした時、美鈴が言った。
「瀬文さん!
真実なんかどうでもいい。
兄の仇とか、つまらないこと考えないで生きて下さい。
それで時々、兄に会いに来てやって下さい。お願いします。」
志村の家を出た瀬文に紅生姜が飛んで来た!
瀬文が志村の家にいるだろうと、
当麻が牛丼を持って待っていた。
「牛丼食いなっせ。たぁ~んと食いなっせ。
みんな心配してます。&迷惑してます。
早く帰って来なっせ!」
「俺はもう刑事をやる資格なんてない。」
「そうやって男はすぐ逃げ口上にするけど、
単に卑怯なだけっすよ。」
「俺は逃げん。卑怯者でもない。志村の仇は必ず討つ。」
「私情は禁物です。何べんも言っとるがや!
法に則って刑事として真実を追うから
私たちは刑事なんです。
私情に駆られてしまったら、それはただの暴力です。」
「SPECホルダーを、今の法の中でどう取り締まる。
志村を殺した奴らを、法で裁けるのか?
法なんてクソ食らえだ!」
「それを考えるのは、この私の頭脳です。
私が追い詰めてみせる。
だから私はミショウにいて、
てめえの帰りを待ってんだろうがよ!!」
しかし瀬文に当麻の言葉は届かなかった。
「だからバカは嫌いなんだよ。」
瀬文が公園で座っていると隣に津田が!!
「よく無事で・・・」
「無事な訳ないだろ。殺されたよ、津田は。
俺も津田だ。と言っても、津田って言うのは、
公安部零課の幹部の・・・言うなれば、パブリックドメインだ。」
誰もが津田を狙うから、幹部は津田を名乗り、
顔、声、経歴、全てを津田にしてしまうのだと。
「お前をスカウトに来た。
公安零課、アグネスに入ってもらいたい。」
自分は指名手配中だと瀬文。
津田は瀬文の指名手配を白紙に戻せる。
しかし断れば、どんな手を使っても殺されると。
「お前の力を我々に貸して欲しい。
ってかさ~、お前、志村の仇を取りたくないの?
志村の無念を晴らしたくないのか?」
瀬文は奥歯を抜き、津田に差し出す。
「瀬文、公安零課入りを志願します。」
ギャラのこととか決めなくちゃと嬉しそうな津田。
そんな津田に瀬文が言う。
「ギャラはいりません。終わったら全てを辞めます。
ひとつだけお願いがある。
未詳の仲間の地位は守っていただきたい。これは条件です。」
「分かった。手配させよう。」
津田が手を挙げると、公園にいた人たちが敬礼。
驚く瀬文。
「瀬文!全ての真実を疑え。」
そう言い、津田は去って行った。
いつぞやの公安の課長がやって来て、未詳が再度設置され、
野々村係長と当麻も未詳に復帰となったことを告げた。
そして、瀬文が辞職したため返納されたと、
紙袋と銃が机に置かれる。
「瀬文さんは辞めて何処へ?」
「知らん!!」
「まさか・・・アグレッサーに引き抜かれた訳じゃないでしょうな。」
なんだそれ?と誤魔化されてしまったが、
当麻に言い当てられてしまった。
瀬文の危険を感じた当麻は銃と弾をキャリーに入れる。
アグレッサーを挑発すれば、
向こうからやって来るだろうと。
「殺されちゃうよ?」
「大丈夫ですよ。
私にも係長にも、SPECがあるはずですから。
私の脳でずっと眠っている残り90%の脳が、
私の思いに応じて目覚めてくれるはず。
それが、私たちの未来を切り開いてくれると思います。」
「これは未来を切り開こうとする者と、
閉ざそうとする者の戦いってことだね。」
「良いこといいますね。・・・遺言みたい。」
「遺言か・・・死ぬのか?ワシ・・・」
その頃、捜査一課では瀬文の容疑が晴れたが、
当の本人は行方不明のままだと・・・
「どうします~?
今までみたいにすっとぼけてやり過ごしますか!?」
「それとも、偶には刑事らしく捜査してみますか。」
「当然捜査だ!誰よりも先に瀬文を確保するんだ。
でないと、瀬文が闇に葬られるかもしれん。」
当麻に瀬文から電話が。
「これが最後の電話だ。俺はこれから姿を消す。
志村を殺した奴ら、そしてお前の腕を奪った一と決着をつける。
お前には死なれたくない。
俺は許されざる人間だ。
日の当たる場所で生きていくつもりはない。」
「瀬文さんは軍人のくせに嘘つきですなぁ。
あたしたち約束しましたよね。
あたし、あなたのことを信じてたのに。」
「お前の知ってる瀬文という男は、もう存在しない。
お前は・・・お前はたったひとつの光だ。
何があっても生きろ。以上だ。」
アグレッサー入りした瀬文は、
津田たちと一緒に一のいる場所へ向かっていた。
内部告発があって場所が分かったらしい。
一の寝込みを襲うことに。
その時、民間人である母・二三(フミ)も殺してもいいと。
そして一の隠れ家へ。
爆弾を一の寝ている側へ転がす。
二三が出て来て咄嗟に庇ってしまう瀬文。
そして爆発が。
その帰り、成功したのか?とアグレッサーのひとり。
「僕は生きてるよ。」
一が車中にいた。
次の瞬間、瀬文以外がダルマに!!
「殺したのか?」
「アグレッサーは殺した。
金太郎飴みたいな津田も、1人残らず殺したよ。
あんたは母さんを助けようとしてくれたから、
今回だけは見逃してやる。
ただし、次同じようなことをしたら、こうだ!」
瀬文の顔に十字の切り取り線が・・・
「その顔の切り取り線に沿って、頭部を切る。
スイカみたいにね。」
一が組織の会議の場に出没し殺して行く。
血で縦に“一十一”と書く。
「僕はこの世界の、キングだ!」
縦に書いた名前は“王”になる。
「まいった?二度と僕と母さんに逆らうな!!」
ミショウに一の逮捕が命じられる。
生死は問わず、超法規的措置として。
しかし、野々村は命令を受けたのは自分だと。
「ただ君が、その目で一が
紛れもなく危険な犯罪者と判断したその時には、
刑事として、然るべき処置をしてもらいたい。」
野々村は雅ちゃんと待ち合わせ。
弁護士の妻から訴えると。
雅ちゃんは怒って帰ってしまう。
そこへ一が現れる。
「雅ちゃんを巻き込みたくないっていう
あんたの気持ちは、素敵だね。」
野々村は妻の雅に手を出すなと。
息子、弟にも。
「僕は野々村さんを信じてるよ。それなりにね。」
野々村が一に銃を向ける。
「やめときな。勝てっこない。」
「勝てるかどうかは問題じゃない。
負けると分かっていても、心臓が止まるまでひた走る。
それが刑事だ。」
その瞬間、血を吐いて倒れる野々村。
洋服ダンスがミショウに届けられた。
当麻が開けると、中には血まみれの野々村。
当麻は美鈴を訪ね、
野々村が刺されたナイフをサイコメトリしてくれるよう頼む。
美鈴は力を失った訳ではなく、
使いたくなかっただけらしい。
ナイフから横浜のマリンタワーの見える場所にいると判明。
その頃、零課が襲われ壊滅状態になっていた。
一の新しい住所を受け取る瀬文。
「完全に記憶を消しますか?」
一が母の記憶を完全に消させ、
顔も変え、生きられるよう頼む。
当麻が事件整理の儀式。
「頂きました!瀬文さん、野々村係長、お世話になりました。」
敬礼する当麻。
そこへ一課の3人がやって来て、
何か手伝えることがないかと・・・
「非合法のことで良ければありますよ。
一を倒す、唯一の方法。」
瀬文は一の住所を頼りに横浜へ。
そして一が現れる。
瀬文は銃を撃つも、その銃弾は瀬文に・・・
「SIT出身て、大したことことないね。ウケる!(笑)」
瀬文から銃を奪い、撃とうとする一。
そこへ当麻が!!
「もらった!」
当麻が一に向かって撃つ。
しかし一が時を止め消える。
が、当麻のキャリーに引っ掛かり姿を現す。
当麻と瀬文が、同時に数発連続で撃つ。
またしても時が止まる。
銃弾を落としていく一。
「結局君もバカだね。
厳密には僕は時間を止めてるんじゃない。
君の世界と僕の世界の時間の流れが違うんだよ。
いくら隙を突こうとしても、
君たちの動きは常にスローモーションなんだよ。」
降っていた雪も止まっていて、キレイだと見上げる一。
「君に見せてやりたいけど、めんどくさいから殺す。」
一はナイフを取り出し当麻に近づく。
その時、止まっているはずの当麻の口がニヤリ。
驚いて、後ろに下がる一。
「動いた!? まさか!!」
これ、次回でちゃんと回収出来るのか!?
前回から薄々感じてたんだけど、一って当麻の弟なのか?
記憶を消す男はやっぱ地居っぽいし・・・
ってか、一は急におかしな子になっちゃったよね。
一のSPECはひとつだけじゃないのか?
あの切り取り線のSPECも一なの?
それとも出てきてないだけで別にいるの?
当麻の左手もあれで切ったってことよね。
その当麻の左手のことだけど、
瀬文が知ってたのにはちょっと驚いた。
いつ知ったんだろうか・・・?
今回も瀬文の台詞に痺れたわ~。
「お前はたったひとつの光だ。何があっても生きろ。 」
だから惚れるっつーの!!(笑)
謎だらけのSPECも次回で最終回。
取り敢えず最終回を待つしかないよね。
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