淡路島の南あわじ市

2007年07月21日 | 風の旅人日乗


さてさて。

7月19日の朝、横須賀のトヨタレンタカーで2トン・ロングの平積みトラックを借りて、久里浜発金谷行きの東京湾フェリーに乗って、東京湾を横断し、千葉県の富浦へ向かう。

富浦で東京海洋大学のヨット部諸君の手伝いを得て、アクアミューズ8隻をトラックに積み込み、再び一人になって一路館山-木更津道路を北上、アクアラインに乗り海ほたるを経由して、午前中とは逆方向に東京湾を横断。羽田を経てお台場で東関道をお台場で降りて有明のフェリー埠頭へ、フェリー出港時間の1時間前に無事到着。
ふー。

道中強い横風もなく、荷台に2列4段重ねで高くそびえるアクアミューズも飛ばされることなく全艇無事有明埠頭まで到着。でも時速70キロでしか走れなかった1車線の館山道では、後ろに大渋滞を従えてしまった。スマナかったよう。

7月19日19時、『オーシャンウエスト』は予定通り有明埠頭を出港する。
デッキに出て、夜の東京湾の風に吹かれて、これからの行く末などを考えた。暗い。いや、行く末ではなく、東京湾の海面の話、だ。

東京湾の夜景を眺めながら、ゴキゲンの展望風呂に入り、ビールで夕飯を食べて部屋に帰り、焼酎を飲んで布団の上にごろりと横になったと思ったら、気絶した。

次に目が覚めたら朝8時。部屋のカーテンを開けると、穏やかにうねる海にはすでに清々しい朝の気配はない。早朝から操業している漁船は、そろそろ帰り支度をしている様子。
遠くに紀伊半島の山々が見える。フェリーが走っているのは、もう熊野灘だった。

いや、それにしても深い睡眠だった。ここ最近のベストのいい睡眠だった。

朝9時、潮岬を通過。

海は、ホクレアを曳航して西から東にこの半島を越えた日、6月6日と同じように、とても穏やかだ。
あの日のことがクリアに思い出される。

ホクレアのご意見番クルーのノーマンとレイトンが言い出して、あのレグのキャプテンだったブルースもそれに乗って、潮岬の串本側と紀伊大島の間に掛かる、くしもと大橋の下をくぐりたい、絶対にくぐらせてくれ、と言い始めたのだ。

海図と入港案内をくまなく調べるが、手持ちのどの資料にも橋の高さが書いていない。
ホクレアのマストは低いので問題ないが、カマヘレのマストは海面上60フィートある。
遠くから橋を眺めるが、20メーターないようにも見えるし、30メーターはありそうにも見える。

きちんとした資料がない以上、いやだ、行くべきじゃない、と言い張ったものの、ノーマンが、自分が現役時代(ノーマンは、米国のマトソン・ラインの船長として長く活躍した本物の船乗り。船乗り仲間から大いに尊敬されている)に大型の船で通ったことがあるので大丈夫だと言っている、とブルースがVHFで言って来る。

海図には、橋の横の山の高さが記載されていて、その山と端の高さを比べるが、どうも20メーター前後(60フィート)しかないように見える。

ここでカマヘレのマストが引っかかりでもしたら、大変な事態になるし、そのあとのホクレアの航海全体に関わってくる。

でもブルース決行すると主張し、それを阻止できずに、ついに橋をくぐることになった。

かなり近くに接近して初めて、橋の最上部に『20メーター』の文字を発見! 
うー。どうしよ。
ただし、橋の高さの表記は、略最高高潮面からの高さのはずだし、しかも、潮汐はほぼ最干、しかもその干潮はかなり低い。

数々のラッキーを呼び込むホクレアは、ここも無事通過した。

ノーマンが「自分は通ったことがある」、と言ったのは、あとで嘘だったと判明。
「いや、そうでも言わないと西村さんが通してくれないと思ったので」
そうだよねえ。おかしいと思ったんだよ。外国の貨物船がわざわざ串本港を通り抜けたりしないもの。


さて話がずれた。
潮岬をかわして北上を始めたオーシャンウエスト号は、予定通りその日20日の午後1時過ぎに徳島港に無事到着。
潮岬を過ぎてから吹き始めた南風が、非常に強くなっている。25ノットくらいは吹いている。

鳴門大橋を渡るとき、この風は横からの風になる。荷台の上にそびえ立つアクアミューズが風圧を受けるとトラックごとこけるのではないかしらん、ととても不安になる。

迎えに来たM谷に連れられて、徳島市内の阿波クルージングクラブのクラブハウスに行き、ロープを借りて荷固めをする。
アクアミューズは、強く固縛しすぎると、ハルがへこんでしまう。しかし、構っていられない。

意を決して、さらに強まる風の中、鳴門大橋に向かう。

結論から言うと、渡ることは渡れた。しかしとっても危なかった。恐らく同じ状況がもう一度あれば、もう二度と絶対にトライしないだろう、と思うですね。
それくらい恐かった。橋から転げ落ちてアクアミューズともども鳴門の渦潮に飲まれることさえ有り得そうでした。

無事、目的地である南あわじ町の研修施設に到着。
今回のセーリングイベントを手伝ってくれるチームニシムラ最強のインストラクター、M橋夫妻は飛行機ですでに到着していて、無事の再会を喜び合う。

アクアミューズをトラックから降ろし、明日の打ち合わせと準備をする。
徳島県阿南市在住のM谷は、トラックをトヨタレンタカー徳島空港店に返却するために先に帰った。
ありがとさん。

夜、研修施設のスタッフの人たちに連れられて福良の魚料理屋へ。
旬の鱧がとても美味しかった。

明日からは、ちょっと重いテーマに挑戦するセーリング体験イベントの、準備講習会だ。
今日も早く寝よ。