親子海洋体験セーリングセミナー(その4)

2007年09月16日 | 風の旅人日乗
9月16日午後。
参加者たちが昼ごはんを食べている間に、午後のプログラムの可能性を探りに阿万海岸、施設内の池、隣町の福良の海岸などを、チームニシムラの面々で見て回る。

風の強さも方向も、午前と変わりなく、良くない。まず、阿万海岸での実施は不可能と決定。

次に、施設内にある観賞用の広大な池でセーリングできるか否かの可能性を検討する。
広さ、◎。
風も、○。
艇の乗り移り設備、ウーム、×。
池の周囲は庭石のような岩で囲われ、その岩が全体に緩んでいて人が乗ると池に崩れ落ちそうだ。これは危ない。その1点の×印が理由で、不適当と判断する。

残るは、西にある山を一つ越えたところにある福良湾の、B&G財団施設前の水面。南西風が山でさえぎられているので、水面は波静か。離着艇に適切な小石のビーチもある。
ところが、ここも欠点があり、風が非常に不安定だ。
水面を取り囲むように切り立っている急峻な山の斜面から、時折吹き降ろしてくる突風が、ここの水面上でつむじ風のように舞い、風向が360度定まらない。風速の強弱も激しい。
これでは、初心者は風を感じるどころか、風に翻弄されて、ヨットに乗ってはみたけれど、自分が一体何をしたのか分からないセーリングになってしまうだろう。

で、みんなで出した結論は、福良のこの水面を使って、カヌーによるカリキュラムを急いで考えて、午後のメニューにしよう、というもの。

交流の家のスタッフの方たちがこの予定変更に素早く対応してくれて、バスとトラックのピストン輸送で参加者、ボランティアスタッフ、カヌーを福良まで運んでくれる。
海からは、ゴムボートを積んだレスキュー艇が、荒波を乗り越えて福良へと移動してきた。

このように、臨機応変の運営に素早く対処できる主催者がやっているイベントは、それだけで成功が約束されているようなものだ。とても心強い。さすが、独立行政法人・国立淡路青少年交流の家のスタッフの方々である。

この日の午後は、時折やって来る雷と大雨と、突風を伴った雲が来たときは、急いで海から上がって雨宿りしながら、親子でカヌーを漕いでレースをやることができた。

天気に恵まれないにも関わらず、海に入った子供たちの表情が、素晴らしく明るくなる。海から上がりたくない、と親や先生に駄々をこねる子供たちも少なくない。親との会話をしている子供たちが、心なしか増えてきたようにも感じた。

親子海洋体験セーリングセミナー(その3)

2007年09月16日 | 風の旅人日乗

9月16日
朝、小池さんと風をチェックしに海岸に行く。南南西の風が、昨日から吹きつのり、施設の前のビーチには、怒涛のような波が押し寄せている。
そのビーチとは異なり、沖に消波ブロックがある阿万海岸だが、それでも離着岸は難しいし、うまく沖に出られても、時折の強いブローで数回の転覆は経験することになるだろう。もちろんセーリングが不可能という風ではないのだけれど・・・。

青少年交流の家の職員室に行き、インターネットで気象情報を見る。
西の大陸にある台風くずれの低気圧と日本の東北地方にある低気圧とが前線でつながっている。その前線に向かって南からの暖かい、しかも湿った空気が吸い込まれている。
強い風が吹いているのは淡路島だけではなく、遠く離れた駿河湾でも、相模湾でも、同じような強い風が吹いている。ウー、まいった・・・。

だけど。

この体験セーリングセミナーの眼目は、親子で楽しくセーリングを経験すること、2日間でセーリングができるようになって達成感を楽しむことだ。スパルタ教育でセーリングの技術を叩き込むことではない。このことを忘れないようにして、判断を下さなければいけないことを、常に頭の先頭に置いておくこと!、と自分に言い聞かせる。

午後になってコンディションが好転することを期待して、午前中は、施設内のプールに2隻のアクアミューズを浮かべて、我々インストラクターと参加者親子の、それぞれの艇に3名ずつ乗って、セーリングの感触を摑んでもらうスケジュールに組み替える。

ライフジャケットの大切さと着方を参加者全員に教えた後、小池哲チャンがいきなりプールに飛び込んで実演。緊張している子供たちをリラックスさせて集中させる作戦だ。

高橋、村橋、小池、西村の4人で交代で艇に乗り込んで参加者の方々にセーリングを楽しんでもらう。子供たちは、プールの中とはいえ、水の上に浮かぶ船に乗って本当に楽しそうだ。
その笑顔と興奮度を見ながら、コンディションが思うようなものにならなかったら、意固地になってセーリングにこだわらなくてもいいかも知れんなあ、という考えが浮かんできた。

順番を待つ子供たちが退屈しないよう、ボランティアスタッフの人たちが、プールの横の広場でゲームを企画して楽しませてくれている。