ポリネシア航海学会のパルミラ環礁航海(その3)

2009年12月05日 | 風の旅人日乗
【photo copyright/Samuel Monaghan】

3月23日月曜日正午、〈カマヘレ〉に曳航された〈ホクレア〉は、ホノルルへの帰りの航海に出航した。


礁湖から外洋に抜ける狭い水路を通ると、無数の海鳥たちが舞い上がり、2隻の周りを飛び交う。


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外海に出ると、東北東の風が吹いていた。ここは北緯5度52分。空に浮かんでいる雲の形は、貿易風帯の典型的な雲の形とは少し違う。この東北東風は、貿易風だろうか、それとも違う系統の風だろうか。


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ラグーンの水路を抜けるまで短くしていた曳航索を、うねりの大きい外洋での曳航に備えて長く延ばす作業が終わると、〈ホクレア〉のナビゲーターを務めるブルース・ブランケンフェルドからVHFで、コースの指示が来た。
「針路、トゥルーイーストへ」。

この指示は、出航前のクルーミーティングでの打ち合わせ通りだった。


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ベテラン・ナビゲーターであるブルースは、パルミラ環礁からの帰りの航海で、
将来の世界一周航海の最後のレグになるタヒチからハワイ島までの航海を模した訓練を行なうことを目論んでいた。
だから、パルミラ環礁を出たら、まず、タヒチ-ハワイ島間の直線コースのラインに到達するまで東にひた走り、
そこからハワイ島に向かうコースを計画していたのだ。

天気図や気象予報によると、この先しばらくは東北東の風が続くことが予想されたため、
北緯6度、西経154度に定めた変針点までの約480海里を、〈カマヘレ〉が〈ホクレア〉をエンジンで東に向かって曳航する。
そしてそこから〈ホクレア〉はセーリングで約800海里先のハワイ島東海岸のヒロ沖を目指す、
というのが、パルミラ環礁でのクルーミーティングで示されたブルースの航海プランだった。

パルミラ環礁を出て以来、晴れていたのは出航した日の夕方までで、
それ以降は雲が多い天気になり、スコール(突風)とシャワー(激しい雨)をもたらすスコール雲が断続的に襲来した。

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北緯5から6度という緯度帯は、フィリピン沖の西太平洋であれば台風がそこで誕生する、大気が不安定な緯度帯だ。
ここ中央太平洋でも、それは同じだった。

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(続く)