8月14日紹介した、ソウルの大型書店教保文庫のサイトにあった「漫画家ベスト」の続きです。
前回は「日本の漫画家」でしたが、今回は「韓国漫画家」のベスト15を紹介します。
順位=順位を示すかどうかは不明。数字はヌルボが便宜上つけたものです。
私ヌルボが出生年と代表作、そしてコメントをつけ加えました。
①ホ・ヨンマン(허영만.許英萬) 1947~。「食客(식객)」。その他「タチャ」「コル」等。
韓国料理漫画の代表作「食客」はドラマ化され映画にもなりました。やっぱり原作漫画の方がずっと上! 今月第24巻が刊行されました。
ホ・ヨンマンが1987年に出した「オー! 漢江」は、韓国の漫画史によく取り上げられる漫画ですが、今は絶版。東大門市場とか釜山の古本通りをざっと探したりもしましたが見つからず、未読のままです。デモ学生が正しいとした、画期的な<80年代運動圏の必読漫画>とのことです。
「食客」についての詳細はまた今度。
②コ・ウヨン(고우영.高羽榮) 1938~2005。「林巨正」「三国志」「十八史略」「一枝梅」等。
1950年代から2000年まで活躍した韓国の代表的漫画家。「林巨正」(1972)は洪命憙(ホンミョンヒ. 홍명희)の歴史小説が原作で、韓国最初の大人向け長編歴史劇画の先駆けとなりました。
③シム・スンヒョン(심승현.沈承) 1971~。「パペポポ」シリーズ。
「パペポポ」は癒し系の漫画で、継続的な人気を保っています。第1作の「パペポポ・メモリーズ」(2002)の各章のタイトルは愛・意味・関係・時間・思い出、となっています。
④カンプル(강풀) 1974~。「26年」「純情物語」「パボ」「アパート」「タイミング」等。
私ヌルボのイチオシの漫画家です。緻密な構成・展開と、カラーを生かした絵柄で、どの作品も読み応えあり! ネット漫画で人気を得ました。
笑える漫画「日常茶飯事」を最初に読みましたが、長編の「パボ(바보.=馬鹿)」で完全にファンになりました。これは昨年チャ・テヒョン、ハ・ジウォン主演で映画化されましたが、未見です。(日本未公開) 「アパート」と「タイミング」はホラー。前者は映画でも観ましたがやはり原作がずっと上。「タイミング」は<ヤジャ>の記事で少しふれました。
「純情漫画」は日本でも刊行されましたが、宣伝がまずかったか(?)話題にもならなかったみたいですね。
「26年」も映画化。光州事件のその後を扱った問題作。くわしくは、また今度。
⑤イ・ヒョンセ(이현세.李賢世) 1954~。「恐怖の外人球団」「南伐」等々多数。
1980年代から活躍している韓国漫画の巨匠。「弓」と「純姫(スニ)」は日本でも刊行されました。
「恐怖の外人球団(공포의 외인구단)」(1983)は韓国漫画史に大書される作品で、近年映画化・ドラマ化されています。
「南伐(ナムボル)」は、未来のある日、日本の侵略を受けた韓国が日本を降伏させ、独島の領有権が大韓民国にあるという事実を世界に知らせるという内容。後書きで「南伐は日本の軍国主義に対する警戒心と、この国の対策のない武装解除に対する警告である」としているそうです。2005年5月17日付「朝鮮日報」では、彼が<名誉独島警備隊隊長>となり、サイバー空間で独島を守る任務にあたることになった、と報じられています。
⑥パク・ソヒ(박소희. 朴韶希) 1975~。「宮(궁.クン)」
千葉県出身の在日3世の女性漫画家。「宮」(2002)は日本では「らぶきょん―LOVE in景福宮」のタイトルで刊行。紹介&説明はあえて省略。有名だし、いいでしょ?
⑦チョ・ソク(조석) 1983~。「心の声(마음의 소리)」。
ギャグ漫画「心の声」(2007)は、大手のポータルサイトのネイバーで人気のウェブ・トゥーン(ウェブ上のcartoon=連載漫画)。
最近よく売れているようで、現在第3巻まで出ています。ヌルボも最初のを読みましたが、・・・・ウーム。
⑧カン・ドハ(강도하) 1969~。「偉大なるキャツビー」。
カン・ドハもネット漫画家の一人。現代の青春を描いた「偉大なるキャツビー(위대한 캣츠비)」は爆発的な人気を呼び、2005年大韓民国漫画大賞を受賞。タイトルはフィッツジェラルドの「偉大なるギャツビー」のもじりでしょう。「ギャッツ(갯츠)」じゃなくて「キャッツ(캣츠)」ということで、各キャラクターをネコやイヌを擬人化して描いている点(上の画像)に特色がありますが、内容的にはかなりシリアス。
⑨イ・ウォンボク(이원복. 李元馥) 1945~。「遠い国 となりの国」。
徳成女子大学教授で、世界各国を達者な漫画と具体的内容で描いた教養漫画「遠い国 となりの国(먼나라 이웃나라)」は1400万部のベストセラーになりました。
⑩チェ・フン(최훈) 「三国戦闘記」。
この漫画家は知りませんでした。「日刊スポーツ」連載の「三国戦闘記」は「三国志」の漫画版のようです。
⑪ヤン・ヨンスン(양영순.梁榮淳) 1971~。「ヌードルヌード」「ジャンクブック」等。
この漫画家も知りませんでしたが、ネット漫画家として活躍しているようです。
ネット漫画「学習マナ」や、「千一夜話」の表紙(上の画像)を見ると興味をそそられる感じ・・・。そのうち読んでみます。
⑫クォン・ユンジュ(권윤주) 1975~。「スノーキャット(스노우캣)」。
女性のネット漫画家です。「スノーキャットのひとりあそび」という日本語版が出てますね。
⑬パク・ヒジョン(박희정) 1970~。「ホテル・アフリカ」。
「ホテル・アフリカ」(2005)は日本でも刊行。アメリカ・ユタ州のホテルを舞台にしたオムニバスヒューマンドラマ。
⑭チョン・ククジン(전극진) 1968~。「熱血江湖」。
「熱血江湖(열혈강호)」はチョン・ククジン作・ヤンジェヒョン(양재현)画。漫画雑誌「ヨン・チャンプ(영챔프)」の創刊(1994年)から連載。(え、49巻(?)も出てるの?) 武侠アクションにコミック味を織り込んだ作品。
ヌルボは最近横浜の貸本屋さんで初めて見ました。最初、「熱血ガンホ」かと思っちゃいました。(笑) 俳優ソン・ガンホを思い出して名前かと・・・
香港の人気作家金庸の傑作武侠小説「秘曲・笑傲江湖」(徳間文庫.オモシロイ!)の<江湖>と同じで、世間とか、黒社会(?)とかの意。
⑮ハン・スンウォン(한승원) 1958~。「ビクトリー ビッキー」「プリンセス」。
韓国漫画界の大御所キム・ドンファ(金童話)の夫人。ヌルボはキム・ドンファの方は知っていたし本も持っているんだけど、奥さんは知りませんでした、はい。
「ビクトリー ビッキー(빅토리비)」は、イギリスの令嬢ビッキーがアメリカに行って・・・、という話。舞台も登場人物も西洋というのは、少女漫画では日韓共通でけっこうあるようです。
前回は「日本の漫画家」でしたが、今回は「韓国漫画家」のベスト15を紹介します。
順位=順位を示すかどうかは不明。数字はヌルボが便宜上つけたものです。
私ヌルボが出生年と代表作、そしてコメントをつけ加えました。
①ホ・ヨンマン(허영만.許英萬) 1947~。「食客(식객)」。その他「タチャ」「コル」等。
韓国料理漫画の代表作「食客」はドラマ化され映画にもなりました。やっぱり原作漫画の方がずっと上! 今月第24巻が刊行されました。
ホ・ヨンマンが1987年に出した「オー! 漢江」は、韓国の漫画史によく取り上げられる漫画ですが、今は絶版。東大門市場とか釜山の古本通りをざっと探したりもしましたが見つからず、未読のままです。デモ学生が正しいとした、画期的な<80年代運動圏の必読漫画>とのことです。
「食客」についての詳細はまた今度。
②コ・ウヨン(고우영.高羽榮) 1938~2005。「林巨正」「三国志」「十八史略」「一枝梅」等。
1950年代から2000年まで活躍した韓国の代表的漫画家。「林巨正」(1972)は洪命憙(ホンミョンヒ. 홍명희)の歴史小説が原作で、韓国最初の大人向け長編歴史劇画の先駆けとなりました。
③シム・スンヒョン(심승현.沈承) 1971~。「パペポポ」シリーズ。
「パペポポ」は癒し系の漫画で、継続的な人気を保っています。第1作の「パペポポ・メモリーズ」(2002)の各章のタイトルは愛・意味・関係・時間・思い出、となっています。
④カンプル(강풀) 1974~。「26年」「純情物語」「パボ」「アパート」「タイミング」等。
私ヌルボのイチオシの漫画家です。緻密な構成・展開と、カラーを生かした絵柄で、どの作品も読み応えあり! ネット漫画で人気を得ました。
笑える漫画「日常茶飯事」を最初に読みましたが、長編の「パボ(바보.=馬鹿)」で完全にファンになりました。これは昨年チャ・テヒョン、ハ・ジウォン主演で映画化されましたが、未見です。(日本未公開) 「アパート」と「タイミング」はホラー。前者は映画でも観ましたがやはり原作がずっと上。「タイミング」は<ヤジャ>の記事で少しふれました。
「純情漫画」は日本でも刊行されましたが、宣伝がまずかったか(?)話題にもならなかったみたいですね。
「26年」も映画化。光州事件のその後を扱った問題作。くわしくは、また今度。
⑤イ・ヒョンセ(이현세.李賢世) 1954~。「恐怖の外人球団」「南伐」等々多数。
1980年代から活躍している韓国漫画の巨匠。「弓」と「純姫(スニ)」は日本でも刊行されました。
「恐怖の外人球団(공포의 외인구단)」(1983)は韓国漫画史に大書される作品で、近年映画化・ドラマ化されています。
「南伐(ナムボル)」は、未来のある日、日本の侵略を受けた韓国が日本を降伏させ、独島の領有権が大韓民国にあるという事実を世界に知らせるという内容。後書きで「南伐は日本の軍国主義に対する警戒心と、この国の対策のない武装解除に対する警告である」としているそうです。2005年5月17日付「朝鮮日報」では、彼が<名誉独島警備隊隊長>となり、サイバー空間で独島を守る任務にあたることになった、と報じられています。
⑥パク・ソヒ(박소희. 朴韶希) 1975~。「宮(궁.クン)」
千葉県出身の在日3世の女性漫画家。「宮」(2002)は日本では「らぶきょん―LOVE in景福宮」のタイトルで刊行。紹介&説明はあえて省略。有名だし、いいでしょ?
⑦チョ・ソク(조석) 1983~。「心の声(마음의 소리)」。
ギャグ漫画「心の声」(2007)は、大手のポータルサイトのネイバーで人気のウェブ・トゥーン(ウェブ上のcartoon=連載漫画)。
最近よく売れているようで、現在第3巻まで出ています。ヌルボも最初のを読みましたが、・・・・ウーム。
⑧カン・ドハ(강도하) 1969~。「偉大なるキャツビー」。
カン・ドハもネット漫画家の一人。現代の青春を描いた「偉大なるキャツビー(위대한 캣츠비)」は爆発的な人気を呼び、2005年大韓民国漫画大賞を受賞。タイトルはフィッツジェラルドの「偉大なるギャツビー」のもじりでしょう。「ギャッツ(갯츠)」じゃなくて「キャッツ(캣츠)」ということで、各キャラクターをネコやイヌを擬人化して描いている点(上の画像)に特色がありますが、内容的にはかなりシリアス。
⑨イ・ウォンボク(이원복. 李元馥) 1945~。「遠い国 となりの国」。
徳成女子大学教授で、世界各国を達者な漫画と具体的内容で描いた教養漫画「遠い国 となりの国(먼나라 이웃나라)」は1400万部のベストセラーになりました。
⑩チェ・フン(최훈) 「三国戦闘記」。
この漫画家は知りませんでした。「日刊スポーツ」連載の「三国戦闘記」は「三国志」の漫画版のようです。
⑪ヤン・ヨンスン(양영순.梁榮淳) 1971~。「ヌードルヌード」「ジャンクブック」等。
この漫画家も知りませんでしたが、ネット漫画家として活躍しているようです。
ネット漫画「学習マナ」や、「千一夜話」の表紙(上の画像)を見ると興味をそそられる感じ・・・。そのうち読んでみます。
⑫クォン・ユンジュ(권윤주) 1975~。「スノーキャット(스노우캣)」。
女性のネット漫画家です。「スノーキャットのひとりあそび」という日本語版が出てますね。
⑬パク・ヒジョン(박희정) 1970~。「ホテル・アフリカ」。
「ホテル・アフリカ」(2005)は日本でも刊行。アメリカ・ユタ州のホテルを舞台にしたオムニバスヒューマンドラマ。
⑭チョン・ククジン(전극진) 1968~。「熱血江湖」。
「熱血江湖(열혈강호)」はチョン・ククジン作・ヤンジェヒョン(양재현)画。漫画雑誌「ヨン・チャンプ(영챔프)」の創刊(1994年)から連載。(え、49巻(?)も出てるの?) 武侠アクションにコミック味を織り込んだ作品。
ヌルボは最近横浜の貸本屋さんで初めて見ました。最初、「熱血ガンホ」かと思っちゃいました。(笑) 俳優ソン・ガンホを思い出して名前かと・・・
香港の人気作家金庸の傑作武侠小説「秘曲・笑傲江湖」(徳間文庫.オモシロイ!)の<江湖>と同じで、世間とか、黒社会(?)とかの意。
⑮ハン・スンウォン(한승원) 1958~。「ビクトリー ビッキー」「プリンセス」。
韓国漫画界の大御所キム・ドンファ(金童話)の夫人。ヌルボはキム・ドンファの方は知っていたし本も持っているんだけど、奥さんは知りませんでした、はい。
「ビクトリー ビッキー(빅토리비)」は、イギリスの令嬢ビッキーがアメリカに行って・・・、という話。舞台も登場人物も西洋というのは、少女漫画では日韓共通でけっこうあるようです。