ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

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「ネチズン」も「ヌリクン」も辞書にはない!?

2009-09-12 10:35:00 | 韓国語あれこれ
 国語辞典は、当然ながら新語に弱いです。特にネット社会関係。
 
 今ふつうに見られる<ネチズン(네티즌)>という単語もその一つで、「広辞苑」にも主な韓日辞典にもありません。
 
 この言葉はネットワーク(network)と市民(citizen)の合成語で、<ネットの中で生きている市民>つまりは<ネットをする人々>を意味します。本来はアメリカ・コロンビア大学から起こった言葉、とウィキペディアにありますが、英語圏や日本ではあまり用いられていないのに対して、韓国ではごく日常的に使われる言葉になっています。
 ※日本のマスコミはふつう<ネットユーザー>という言葉を用いています。

 このような状況から、日本で<ネチズン>といえば、「韓国のインターネット利用者」という意味で使われることが多いようです。

 概して韓国の<ネチズン>は若い世代で、政治的には<革新的>傾向があり、「その力が盧武鉉意見成立の大きな原動力となった」といわれましたね。また彼らの強い<民族的自尊心>が日本に対してもさまざまな場面で表れるため、逆に日本の<嫌韓派>のネットユーザーからはこの<ネチズン>の語が否定的な意味合いで用いられたりもしています。

 ところが近年、韓国のネット上で<ネチズン>とともに<ヌリクン(누리꾼)>という言葉をよく見るようになりました。意味するところは同じです。

 外国語語起源の言葉を、韓国の固有語に変えようという<韓国語純化運動>の観点から、<ネチズン>に代わる語として韓国の国立国語院により考え出されたのがこの<ヌリクン>です。

 最後の文字<クン>は一種の職業を専門に行う人間と言う意味の固有語ですが、<イルクン(일꾼)>=労働者、<チャンサクン(장사꾼)>=商売人、<トバククン(도박꾼)>=賭博師、<チムクン(짐꾼)>=荷物運び屋等々、やや見下げたニュアンスを含む言葉です。
 
 <ヌリ>の方は、私ヌルボは、動詞<ヌリダ(누리다)>に由来する言葉かな、と何となく思っていたら全然違っていて、<世の中><世間>を意味する名詞とのこと。
 
 当初は、<インターネット世界の人々>ということで、クムル(그물)>=網も入れて、<ヌリクムルクン>ときっちり置き換えて用いられたが、結局<ヌリクン>に落ち着き、その後普通に用いられるようになって今に至ったということのようです。

 日本が外来語をそのまま安易にカタカナのまま表記して新語化してしまうことが多いのに対して、韓国の場合は「韓国語に直そう」という意識が強く、民族意識と結びついた一つの運動としても展開されているようです。
 コンピュータ用語など特にその傾向が強く、日本とは正反対なので、韓国語学習者にとっては頭の痛いところ。

「外国語を韓国語の言葉にかえよう」という韓国サイトがあります。
コメント
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