ヌルボ・イルボ    韓国文化の海へ

①韓国文学②韓国漫画③韓国のメディア観察④韓国語いろいろ⑤韓国映画⑥韓国の歴史・社会⑦韓国・朝鮮関係の本⑧韓国旅行の記録

韓国ドラマ「英雄時代」を読み解く[6] 今も愛唱される童謡「オッパセンガク」

2010-04-17 23:59:45 | 韓国の音楽
 ドラマ「英雄時代」の中で、いろんな歌が歌われたり、流れてきたりしています。
 「歌は世につれ・・・」で、それらの歌から当時の世の中をうかがいしることができます。

 3話で、家を出ていった兄テサンのことを思って、2人の妹が「兄への思い(オッパセンガク. 오빠 생각)」という歌を歌います。

 この歌は、今でも韓国人なら誰もが知っている、韓国の代表的な童謡の1つです。
 「오빠 생각」で動画検索すると、いくつもヒットして、聴くことができます。たとえば→コチラ
 歌詞は次の通りです。

뜸북 뜸북 뜸북새 (トゥムブク トゥムブク トゥムブクセ)  トゥムブク トゥムブク クイナが
논에서 울고 (ノネソ ウルゴ)  たんぼで鳴いて
뻐꾹 뻐꾹 뻐꾹새 (ポックク ポックク ポッククセ)  ポックク ポックク カッコーが
숲에서 울 때 (スペソ ウル テ) 森で鳴く頃
우리오빠 말 타고 (ウリオッパ マル タゴ)  兄さんは馬に乗って
서울 가시며 (ソウル カシミョ)  ソウルに行って
비단구두 사가지고 (ピダン クドウ サガジゴ)  絹張りの靴を買って
오신다더니 (オシンダドニ)  帰ってくると言ったのに

기럭 기럭 기러기 (キロク キロク キロギ)  キロク キロク 雁が
북에서 오고 (プゲソ オゴ)  北から来て
귓들 귓들 귀뚜라미 (クィトゥル クィトゥル クィトゥラミ)  クィトゥル クィトゥル コオロギが
슬피 울건만 (スルピ ウルゴンマン)  悲しく鳴いているばかり
서울 가신 오빠는 (ソウル カシン オッパヌン)  ソウルに行った 兄さんは
소식도 없고 (ソシクト オプコ)  たよりも 絶えて
나뭇잎만 우수수 (ナムンニムマン ウスス)  木の葉だけが はらはらと
떨어집니다 (トロジムニダ)  散ってゆきます

 国民的な童謡といっても過言ではないこの歌ですが、「作詞者が12歳の少女だということは韓国人でもそんなに多くはない」とある韓国サイトにありました。
 その少女の名はチェ・スネ(최순애.崔順愛)。1925年に、水原に住んでいた彼女が、韓国児童文学の父・方定煥(パン・ジョンファン.방정환)が出していた「オリニ.어린이(こども)」という雑誌の童詩欄に投稿して入選した作品です。
 この童詩欄では、翌1926年、馬山のイ・ウォンス(이원수.李元寿)少年の書いた「故郷の春」が当選しました。韓国語講座等でも教わったりする、韓国を代表する歌ですね。
 このチェ・スネちゃんと2歳年上のイ・ウォンス君、「オリニ」誌投稿仲間同士の文通が機縁となって、1936年結婚に至るわけですよ。まさに物語的な展開ですねー。

 実は私ヌルボ、以前韓国の代表的な児童文学作家・権正生(クォン・ジョンセン.권정생)が書いたイ・ウォンスの伝記「내가 살던 고향은」を読んだのですが、このご夫妻、朝鮮戦争では子どもを亡くしたりして苦労されたようです。しかしイ・ウォンスは「故郷の春」の一発屋で終わるどころか、戦後も感動的な童話をいくつも書いて、韓国の代表的な童話作家としても名を成しています。

        
  【李元寿の伝記「ネガサルドンコヒャンウン」(権正生:著)は読みやすい韓国語で、内容も感動的!

 ドラマの中で、妹たちが歌う「オッパ・センガク」、馬と汽車の違いはあるものの、歌詞が物語とちょうど重なる感じです。村を出た兄を妹たちが待つ、そんな場面は当時けっこうふつうにあったんでしょうね。

あるサイトで、この歌にまつわるエピソードが記されていました。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする