栃木県はが郡の

陶工のつぶやき

たそがれの3歳児~その3

2012-12-18 21:48:31 | 作り話
間があくと、書いた本人もどういう内容だったか?忘れてしまった・・・

気を取り直して




前回までのあらすじ

金色ののオオクワガタをさがしに

時間犬と出かけたたそがれの3歳児

イトヨーヨーから逃れ

隠れ婆さんから

金色のオオクワガタの居場所を聞く事になるのだが・・・



隠れ婆さんの隠れ家に着くと

入り口には大きな兵隊アリが門番をしていた

強力なキバを持つ兵隊アリなんだけど

「あ~ら。お婆さんお帰りなさ~い♪」となんだかナヨナヨしている

「あらまあ、どうしたの?かわいい坊やに支えられて。かわい~い。どんだけ~。」

・・・おねえの兵隊アリらしい

「困ったもんだ。門番になりやしない。とっとと開けておくれ。」

と隠れ婆さんが言うと

「や~だ~私ったら。はいはいどうぞ~。」と門を開けてくれた

光るコケやキノコに足元を照らされながら

中に入って行くと

そこは動物園のようになっていた

「お帰りなさいませ。」と出てきたのはナマケモノ

隠れ婆さんは、ナマケモノに湿布薬を持ってきてくれるようにはなし

椅子に腰掛けた

奥に引っ込んだナマケモノは湿布薬を持って現れ

手際よく婆さんの腰に湿布をしてくれた

なかなかにハタラキモノなのである

「隠れ婆さん。ここで何しているの?」とたそがれの3歳児が聞いた

「私は生き物の博士なんだよ。時々研究を盗みに来るものがいるから、近寄らないように脅かしているのさ。」

「ふ~ん?!」

「お~や。信用していないね。いいだろう。・・・そこの時間犬!。」

「なんだ?」

「お前が時間を止めようとしたのに、私には効かなかっただろう。何故かわかるかい。」

「・・・わからん。」

「時間は誰にも同じに流れているとは限らないんだよ。話てもわかるかなあ。

どんな生き物も一生に使うエネルギーは30億ジュールと決まっている。

簡単に言えば、エネルギーを使えば使うほど時間は早く進むのさ。

だからお前が時間を止めようとした時、私はそれをコントロールしたのさ。」


「???」

「わからんだろうな。まあいいさ。

ところで坊主。金色のオオクワガタは実はここから逃げていったものなのさ。」

「え?そうなの。」

「そうさ。生き物は時々変わったものが生まれてくるのさ。私はそういう物を調べているんだよ。」

「それじゃ、金色のオオクワガタはお婆さんの物だったの?」

「いいや、ここに居る者はみ~んな誰のものでもないのさ。

ただ、金色のオオクワガタの噂を聞いて

欲張りどもが押しかけてくると困るのさ。

どうだい?ここに連れ戻してくれないかな。」

「うん。わかったよ。だけどそれはどこに居るの?」

隠れ婆さんは、ハタラキモノ・・・じゃなくてナマケモノに何事か話した。

ナマケモノは奥に消え、しばらくすると

小さな瓶とさっきの門番のおねえ兵隊アリをつれて戻ってきた

「居場所はこのアリが知っている。それからこの瓶も持っていくが良い。役に立つはずだ。」

「この子と金色のオオクワガタを連れ戻しに行くの?きゃ~すてき~。よろぴくね~。」

「おい!」と時間犬が答えた


さて

桃太郎のようにスタッフが増えて鬼ヶ島・・・じゃなくてオオクヌギを目指して進む

たそがれの3歳児と時間犬とおねえ兵隊アリ

金色のオオクワガタを見つけることができるのか?




























たそがれの3歳児~その2

2012-12-16 14:02:17 | 作り話
前回のあらすじ

金色のオオクワガタを探しに出かけた

たそがれの3歳児と時間犬

イトヨーヨーから逃れ

更に進むと

そこには隠れ婆さんが・・・




時間犬の遠吠えが効かない!

たそがれの3歳児は山道を必死に走った

それを隠れ婆さんが追いかけてくる!

と言っても

3歳児と婆さんなので

それほどの迫力はないのである

すぐに息が上がった婆さんは

なにやら呪文を唱え始めた

目の前の木々がザワザワと道をふさぎ

逃げようがなくなってしまった

「つかまってしまった・・・。」

たそがれの3歳児は決してあわてないのである

いつも冷静な子供なのであった

時間犬が隠れ婆さんの尻に噛み付いた

「イタタタ!何をするんだいこの犬は!」

婆さんが振り向いた瞬間に3歳児は持っていた洗濯バサミを

婆さんのシワシワのほっぺたに挟んだ

さらに鼻の頭や唇や耳にも次々と挟んだのだ

洗濯バサミは洗濯だけに役立つわけではないのである

ハリネズミのようになった隠れ婆さんは

思わず手を離した

そのスキにたそがれの3歳児は素早く逃げた

そして残った洗濯バサミを道にばら撒いた

「シワシワなので挟みやすいな。」とどうでも良いことを呟きながら逃げる3歳児

隠れ婆さんはやっと洗濯バサミを取り払ったと思ったら

今度は裸足の足で踏んづけて

ひっくり返っている!

たそがれの3歳児は隠れ婆さんがかわいそうに思った

「婆さん大丈夫?」

大丈夫も何も洗濯バサミは誰が挟んだんだ?

「・・・お前は優しい子だね。アイタタタ・・・。一体何をしにこんなところに来たんだい?」

「金色のオオクワガタを捕りにきたんだ。」

「ふ~む。そうかい。・・・」

「アイタタタ!腰が痛くて歩けないよ。手を貸してくれないか?」

手を貸せと言ってもこのオババ大丈夫なのか?

「とって食いやしないよ。手を貸してくれたら良いことを教えてやる。」

「良いことってなんだ?」

「オオクワガタの居場所を教えてやるよ。」

おお!

この婆さんは一体何者なんだ?


つづく・・・







たそがれの3歳児

2012-12-13 21:22:44 | 作り話
たそがれの3歳児は

ブランコに座りながら沈む夕日をながめていた

「今夜はオオクワガタは採れるだろうか?」

椎の森谷には金色に輝くオオクワガタが棲んでいると言う

「そろそろ出かけるか?」

気づくと隣に、時間犬が来ていた

しゃべるのはソフトバンクの犬だけではないのである

大きなカツラの木の下で待っていると

むこうから「ヤミバス」がやってきた

椎の森谷に行くにはこのバスに乗らなければならない

すっかり日もくれて

真っ暗な林の中をヤミバスのライトだけが通りすぎていく

ヤミバスは「イトヨーヨーの池」のほとりで停まり

たそがれの3歳児と時間犬を降ろして闇の中に消えていった

ここからさらに「オオクヌギ」のある山の中腹まで歩かなければならない

池の水がザワザワして

湯気のように「イトヨーヨー」が何匹も現れた

そして体に巻き付いてくる

時間犬が遠吠えをすると「イトヨーヨー」はピタリと動きを止めた

時間犬の遠吠えはほんの少しだけ時間を止めることができるのだ

そのスキに

たそがれの3歳児と時間犬は体から「イトヨーヨー」を取り払い

山道を走った

イトヨーヨーが動き始めたころには

たそがれの3歳児は時間犬の背中に乗って山道を駆け上がっていた

「危なかったな。」と時間犬が言う

「おかげで助かったよ。」

時間犬の背中から降りて

たそがれの3歳児は再び歩き出した

暫く行くと赤い鳥居が見えてきた

ここには「隠れ婆さん」が時々現れるのだ

見つかったら

「有り金ぜ~んぶ置いていきな~。でないと・・・





食っちまうよ~」


と恐ろしい顔でせまってくる


たそがれの3歳児と時間犬は

足音を殺して、息を止め静かに通り過ぎた・・・




「お待ち!」



「黙って通り過ぎる気かい?」


「うわ!」

たそがれの3歳児と時間犬は懸命に走った

ふりむくと

ものすごいスピードで追いかけてくる!


時間犬はまた遠吠えをした

一瞬止まったかにみえたオババは

ニヤリとして

「無駄だよ、私にゃそんなものは効かないよ~。」


続く・・・